グラミー賞主催団体が音楽におけるAI利用への見解を発表、音楽でのAI使用はOKだが完全にAIで生成された曲は禁止
音楽業界における優れた業績を表彰する「グラミー賞」の主催元、ザ・レコーディング・アカデミーが、AIで生成された音楽に関して制限を設けることを明らかにしました。
New Grammy Award Rules Allow AI Use | Time
https://time.com/6288131/grammys-ai-rules/
生成AIは、人間の作曲を支援するだけでなく、新しい楽曲をまるごと作り出すこともできます。2023年6月にはMetaが独自の音楽生成AIモデル「MusicGen」を公開しており、音楽生成AIの実力をデモを使って推し量ることができます。
Metaが音楽生成AIモデルをオープンソースで公開、テキスト&音声入力で誰でも高品質な音楽を作成できるように - GIGAZINE
音楽業界にも大きな影響を与える生成AIの発展を受け、ザ・レコーディング・アカデミーは新たにAIに関する制限を設けることを明らかにしました。その制限とは、「音楽でのAI使用はOKだが、完全にAIで生成された曲は禁止する」というもの。
ザ・レコーディング・アカデミーは「アーティストが楽曲にAIを使用した場合、作品の中に『意味のある』人間の著作要素がある限り、賞の候補として提出することができる」と発表し、AIによって完全に生成された楽曲はいかなる賞の対象にもならず、「人間のクリエイター」のみがグラミー賞の検討、ノミネート、受賞の対象となると述べました。
AIを使った音楽コンテンツはこれまでにも数多く登場しており、2023年4月にはドレイクとザ・ウィークエンドの声をAIで再現してオリジナルの曲を歌わせた「Heart on My Sleeve」が誕生し、数百万回の再生回数を獲得した後に著作権侵害で削除されています。
一方、積極的にAIを取り入れるアーティストもいます。ビートルズのポール・マッカートニー氏は、AIを使って古い音源からジョン・レノン氏の声を抽出し、「ビートルズの最後のレコード」の制作を終えたことを明らかにしています。
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