「ChatGPT」に使われる言語モデル「GPT」からうまく答えを引き出すためのOpenAI公式ガイド
対話型AI「ChatGPT」は人間の言葉を受けて自然な文章を返してくれますが、人間が求める答えをうまく引き出すにはちょっとしたコツが必要です。ChatGPT開発元のOpenAIは「GPTのベストプラクティス」と題し、ChatGPTに使われるモデル「GPT」からより良い結果を得るための6つの戦略をまとめて公開しました。
GPT best practices - OpenAI API
https://platform.openai.com/docs/guides/gpt-best-practices
OpenAIが提唱する戦略は以下の6つです。
・明確な指示を書く
・参考テキストを提供する
・複雑なタスクをよりシンプルなサブタスクに分割する
・GPTに考える時間を与える
・外部ツールを利用する
・パフォーマンステストを実施する
◆1:明確な指示を書く
関連性の高い答えを得るには、ユーザーは文章を入力する際に重要な情報を正しく提供する必要があります。例えば「大統領は誰ですか?」という質問よりも、「2021年のメキシコ大統領は誰ですか?選挙はどのくらいの頻度で行われますか?」という質問の方が、ユーザーの意図が明確にGPTへ伝わります。
また、三重引用符やXMLタグなどの区切り文字を使うと、GPTが文字をどのように扱えばいいかが分かりやすくなります。例えば「論文を要約してタイトルを付けてください。タイトル:ここにタイトルを入力、要約:ここに要約を入力」といった質問のように、ユーザーの意図がどこにあり、GPTは答えをどのように出力すればいいのかを教えてあげることが大切。タスクが複雑であればあるほど、明確に指示することが重要になります。
加えて、具体的な手順を指定することも役立つとのこと。例えば「ステップ1、ユーザーが三重引用符で囲った文章を提供するので、この文章に『概要:』という接頭辞を付けて一文にまとめてください」「ステップ2、ステップ1の概要をスペイン語に翻訳し、『翻訳:』という接頭辞を付けてください」といった感じの指示です。このほか、「約50語で要約してください」「3つの箇条書きで要約してください」など、具体的な数字を提示して指示するのも有効です。
◆2:参考テキストを提供する
「次に示す論文に記載された文章だけを使って質問に答えてください」といったように、体系的な情報をGPTに提供できれば、GPTは提供された情報を使って答えを構成するよう試みるとのこと。ただし、GPTへ一度に与えられる文章の文字数は限られているため、OpenAIが提供する「埋め込み」と呼ばれる関連性検索システムを使うことが推奨されています。
◆3:複雑なタスクをよりシンプルなサブタスクに分割する
ユーザーが放つ曖昧かつ複雑な質問をそのままGPTに受け取らせるのではなく、質問を分割してGPTへ伝えることで、エラー率を低く抑えることが可能。例えば「インターネットを再び使えるようにしたい」という質問を受けた場合、「ケーブルはつながっている?再起動は試した」などの答えを順番に出力するよう教えることで、問題を段階的に解決していくことができます。
◆4:GPTに考える時間を与える
GPTに「とある課題について、学生からこんな回答がありました。これは正しいですか?」と聞くよりも、「学生からこんな回答がありました。あなた自身の答えを考えてから、学生の答えが正しいかどうかを判断してください」といったように、GPTに考える時間を与えた方がミスが少なくなるとのこと。
◆5:外部ツールを利用する
GPTだけでは長い文章や計算式を処理しきれないため、前述の「埋め込み」や外部サービスのAPIを使って答えを出力させることも効果的です。
◆6:パフォーマンステストを実施する
既存の質問で望み通りの回答を得られている状態で、さらに新たな質問を追加した場合、その質問をしたことで既存の回答品質が低下してしまう可能性が考えられます。こうした変更がシステムを良くするのか悪くするのかを見分けるのが難しい場合、OpenAI Evalsなどの評価ツールを使い、効果的な質問のバリエーションを検討することができます。
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