史上初めて撮影されたブラックホールの画像を機械学習で再構築しさらに忠実なものに新生
2019年に史上初めてブラックホールが撮影されました。このときの画像はかなりぼやけたものでしたが、PRIMO(主成分干渉モデリング)と呼ばれる新たな機械学習技術を用いることで、はっきりとブラックホールの姿がわかる、現実の姿により近い忠実な画像の再構築が行われたことが発表されました。
The Image of the M87 Black Hole Reconstructed with PRIMO - IOPscience
http://dx.doi.org/10.3847/2041-8213/acc32d
Iconic image of M87 black hole just got a machine-learning makeover | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2023/04/iconic-image-of-m87-black-hole-just-got-a-machine-learning-makeover/
1st-ever black hole image gets a sharp new AI makeover | Space
https://www.space.com/first-ever-black-hole-image-ai-makeover
2019年4月、世界中の電波望遠鏡を連携させて地球規模で仮想的に超巨大望遠鏡を構成するプロジェクト「イベントホライズンテレスコープ(EHT)」が、ブラックホールの撮像に史上初めて成功しました。ブラックホールの姿はおぼろげながら、CG合成やシミュレーションの結果ではなく、実際の観測結果として得られたものとして高い価値があります。
史上初の「ブラックホールの撮像」に成功、太陽の65億倍の質量で地球から5500万光年の銀河M87に存在 - GIGAZINE
プリンストン高等研究所のLia Medeiros氏らは、公開されたM87銀河のブラックホール画像を作成するために使用された、2017年に収集された元データに対してPRIMOと呼ばれる機械学習技術を用い、画像の欠落部分を埋めました。
これが2019年に発表されたオリジナル画像。
同じデータセットにPRIMOを適用し、画像を再構築した結果がこれ。
PRIMO適用後にEHTアレイの解像度に合わせたことでちょっとボケた状態でもこれなので、オリジナルの状態よりも見やすくなっています。
PRIMOは、コンピューターが大量のトレーニング資料に基づきルールを生成できるようにする辞書学習で、ブラックホールに対して用いるために「ブラックホールはどのようにガスを吸い込むのか」を示すシミュレーション映像を3万パターン学習させました。
シミュレーション映像はこんな感じのものだとのこと。
この試みについてMedeiros氏は「物理学を使用し、機械学習を用いてこれまでに行われたことのない方法で欠落しているデータの領域を埋めています。この手法は、系外惑星から医学まで、広い分野で役割を果たす『干渉法』に重要な意味をもたらす可能性があります」と述べています。
PRIMOを用いて画像を高解像度化することにより、質量やサイズ、物質を飲み込む速度など、大質量ブラックホールの特性をより正確に推定することができるとのこと。
Medeiros氏は、「2019年の画像は始まりにすぎませんでした。『百聞は一見にしかず』とはいえ、その画像の根底にあるデータにはさらなる物語があります。PRIMOは、その洞察を引き出すために重要なツールであり続けるでしょう」と語りました。
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in サイエンス, 動画, Posted by logc_nt
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