ジャーナリストの元に届いた謎のUSBメモリを差し込むと爆発するという事案が発生

エクアドルで、テレビ局やラジオ局で働く少なくとも5人のジャーナリスト宛にUSBメモリ型の爆弾が郵送されていたことが明らかになりました。5つのうちひとつは爆発していますが、被害者が重傷を負うことはありませんでした。
At least 5 news stations receive letter bombs in Ecuador, one explodes: "Clear message to silence journalists" - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/news-stations-letter-bombs-ecuador-one-explodes-clear-message-to-silence-journalists/
Journalist plugs in unknown USB drive mailed to him—it exploded in his face | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2023/03/journalist-plugs-in-unknown-usb-drive-mailed-to-him-it-exploded-in-his-face/
エクアドルの検察庁であるFiscalía General del Estado(FGE)が、2023年3月21日に公式Facebookアカウントで「複数のジャーナリストを標的にしたテロ攻撃が行われ、この捜査を開始した」と報告しています。この投稿はエクアドル検察がテロ捜査を開始したことをアナウンスしているのみで、なぜジャーナリストがテロの標的となったのかなどは不明です。
エクアドルのフアン・サパタ内務大臣によると、爆弾が同封された封筒はロス・リオス州の海岸沿いにあるキンサロマという町から送られていたことが明らかになっています。爆弾の送付先は、南西部のグアヤキル(3通)と、首都キト(2通)で、サパタ内務大臣によると5人のジャーナリストに送付された爆弾はすべて「全く同じもの」だそうです。
USB型爆弾を受け取ることとなったジャーナリストのひとりであるレーニン・アルティエダ氏は、民間テレビ局のEcuavisaで働くジャーナリストです。同氏が郵送されてきた謎のUSB型爆弾をPCに挿入したところ、これが爆発した模様。
エクアドル警察のザビエル・チャンゴ氏は、爆発によりアルティエダ氏は片手と顔に軽傷を負ったと報告していますが、他に怪我を負った人はいないそうです。チャンゴ氏によると、アルティエダ氏が受け取ったUSB型爆弾には軍用爆薬として知られるRDXが使用されていた可能性がある模様。環境保護庁によると、RDXはT4とも呼ばれており、アメリカ軍でも使用されている広く普及している軍用爆薬だそうです。USB型爆弾では約1cmほどのカプセルにRDXが入っていたものの、爆発したものではその半分しか活性化していなかったため被害が比較的小さなもので済んだとチャンゴ氏は語っています。
ジャーナリストのカルロス・ベラ氏も同じUSB型爆弾を送りつけられたそうですが、これは宅配業者がベラ氏のもとに届ける前に警察が押収することに成功したそうです。また、グアヤキルにある国営テレビ局であるTC TelevisiónにもUSB型爆弾が送りつけられていたと、エクアドル検察は指摘しています。この他、エクアドルのテレビ局であるTeleamazonasも、キトにあるオフィスに同様の特徴を持ったUSBメモリが送られてきたと報告しています。
エクアドル警察はグアヤキルのジャーナリストに郵送されたUSB型爆弾を回収したことをTwitter上で報告しています。
INFORMAMOS
— Policía Ecuador (@PoliciaEcuador) March 20, 2023
Detalles sobre las diligencias investigativas de @PoliciaEcuador, ante atentados (artefactos explosivos) a medios de comunicación en #GYE.
EN VIVO????https://t.co/MsF8aeDjGe pic.twitter.com/EGdykKsKPr
一連の騒動について、サパタ内務大臣は「ジャーナリストを黙らせるための明確なメッセージである」と言及。
報道の自由を擁護するNGOのFundamediosは、「Ecuavisa・Teleamazonas・TC Televisiónという3つのテレビ局で、ジャーナリストへの襲撃事件が発生し、そのうちのひとつが爆発しました。Fundamediosはこれらの襲撃事件が極めて深刻かつ容認できないものであると考え、当局に犯人の捜査を求めています」と述べ、ジャーナリストを狙ったUSB型爆弾を用いた襲撃事件を報じています。
なお、USB型爆弾はEcuavisaのアルティエダ氏、TC Televisionのマウリシオ・アヨラ氏、Teleamazonasのミルトン・ペレス氏らに宛てたものだったそうです。このうち、アルティエダ氏宛ての封筒にはジャーナリストに対する脅迫文が含まれていたとFundamediosは報じています。
さらに、Teleamazonasのペレス氏宛てに送られた封筒には、ラファエル・コレア前大統領にちなんで名づけられた政治運動である「コレイズモ」に関する情報がUSBメモリに入っているというメモが同封されていたそうです。
また、FundamediosによるとエクアドルのFMラジオ局であるEXAのアルバロ・ロセロ氏にも、2023年3月15日にUSBメモリが入った封筒が送られていた模様。ただし、このUSBメモリはPCに挿入しても爆発しなかったそうです。しかし、警察の捜査によりこのUSBメモリにも爆薬が含まれていたことが明らかになっています。
ジャーナリスト襲撃事件を受け、エクアドル政府は「ジャーナリストおよび報道機関に対するあらゆる形態の暴力を断固として拒否する」「ジャーナリズムと表現の自由を脅かすいかなる試みに対しても嫌悪感を抱く」という声明を出し、今回の攻撃を非難しました。
エクアドルは世界最大のコカイン生産国であるコロンビアとペルーに挟まれており、近年、世界的な麻薬取引の中心地となっています。2021年には、エクアドルの法執行機関が記録的な210トンもの麻薬を押収しましたが、そのほとんどはコカインでした。今回攻撃の標的となったグアヤキルは、エクアドルの中でも最も暴力的な都市のひとつで、麻薬密売ルートを巡り犯罪組織間の衝突が頻繁に発生していることでも知られています。
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in メモ, Posted by logu_ii
You can read the machine translated English article A case occurred where an explosion occur….