学術誌ScienceがChatGPTなどのAIを論文の著者として認めないポリシー改定を実施
高性能な対話型AI「ChatGPT」の論文への利用の是非に関する問題で、学術誌Scienceが編集方針を改定し、ChatGPTのような文章生成AIを著者として認めないことを表明しました。
ChatGPT is fun, but not an author | Science
https://doi.org/10.1126/science.adg7879
Science journals ban listing of ChatGPT as co-author on papers | Peer review and scientific publishing | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2023/jan/26/science-journals-ban-listing-of-chatgpt-as-co-author-on-papers
ScienceのH・ホールデン・ソープ編集長は、著者はScienceに論文を投稿するにあたり「この論文は独自(original)のものである」というライセンスに署名してきており、「独自」が「ChatGPTで作られた文章が受け入れられないことを示すのに十分」と判断。また、著者は自身の論文について説明責任を負うことを証明しているとも述べました。
これを踏まえて、Scienceはライセンスと編集方針を改定し、「ChatGPT(またはその他のAIツール)によって生成されたテキストを論文に使用することは不可。図・画像またはグラフィックスもそのようなツールで生成することは不可」と明示することにしました。また、AIは論文著者になれないことも定められました。
ソープ編集長は、この方針への違反は、画像加工や先行研究盗用と変わらない科学的不正行為であると指弾しています。なお、論文においては、AIが意図的に生成した正当なデータセットが用いられることがありますが、これは改定の対象外だとのことです。
「科学的記録は、結局のところ、重要な問題と格闘する人間の努力の記録です。機械は重要な役割を果たしますが、それは仮説を立て、実験を計画し、結果を理解する人間のための道具としてです。最終的には、私たちの頭の中にある素晴らしいコンピューターが、その成果を表現しなければならないのです」とソープ編集長は締めくくっています。
なお、「ChatGPT」を巡っては、機械学習に関する国際会議の1つであるICMLが「現時点では、AIが出力したものが誰のものなのか、明確な答えが出ていない」として、AIで丸ごと生成したテキストの論文への使用禁止を表明しています。
ChatGPTなどのAIで科学論文を書くことが国際会議で禁止に、ただし自分の文章の編集・推敲はOK - GIGAZINE
一方、ChatGPTの書いた論文の要旨を研究者が見分けられないという調査結果も出ています。
対話AI「ChatGPT」が書いた論文の要旨を研究者は見分けることができないという報告 - GIGAZINE
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