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せっかく分別したプラスチックが再利用されずに適当に燃やされていることが判明、リサイクルシステムは破綻しているとの暴露報道


アメリカやカナダで廃棄されたプラスチックごみの一部が、プラスチックごみの輸入をほぼすべて禁止しているインドに行き着いていることが分かりました。各国でリサイクルされたと思われる大量のプラスチックがなぜこのようなルートをたどるのかについて、Bloombergが調査報告を行いました。

Amazon Packages Burn in India, Last Stop in Broken Plastic Recycling System
https://www.bloomberg.com/features/2022-india-plastic-recycling-pollution/

アメリカの自治体から廃棄されたごみはリサイクル業者の手に渡り、資源として世界各国に輸出されます。資源が行き着く先の一つがインドのウッタルプラデーシュ州ムザファルナガルです。この地域の主要産業は製紙業であり、30以上の工場が点在しているとのこと。インドの製紙会社は年間600万トンもの古紙を輸入しており、そのほとんどを北米から調達しています。

インドが輸入する古紙の中には、食品の包装や封筒に含まれるラベルなど、さまざまな種類のプラスチックが混ざっています。このようなプラスチックを含む古紙を輸入してしまうことにより、インドは年間50万トンものプラスチック廃棄物を国内に持ち込んでいると見られています。インドでは古紙へのプラスチック混入率を2%までと定めていますが、港湾でのチェックが甘いため、その多くは見過ごされているのが現状だそうです。


インドで廃棄物輸入のシステムが機能不全に陥っている理由の一つは、プラスチックごみに価値があり、買い手がいるということだとBloombergは指摘します。Bloombergのインタビューに対し、インド製紙業協会の会長であるパンカジ・アガーワル氏は「すべてのプラスチックに価値があり、買ってくれる人や使ってくれる人がいるんです」と答えました。

廃棄されたプラスチックは製紙工場の作業員により価値のあるものとないものに分けられ、価値のあるものはリサイクルされ、ないものは無認可の業者によって運び出されて不法投棄されているとのこと。投棄されたプラスチックは低賃金の労働者によってさらに選別され、別の製紙工場や製糖工場に転売されて燃料として燃やされています。


しかし、製紙工場や製糖工場のボイラーや炉の熱は十分ではないので、燃え残ったマイクロプラスチックの灰が環境を汚染しているとのこと。アメリカ国立環境保健科学研究所によると、燃焼したプラスチックにさらされると神経発達や内分泌・生殖機能に障害を受ける可能性があるほか、燃焼で排出されるベンゾピレンや多環芳香族炭化水素などの化学物質はがんとの関連が指摘されています。

プラスチックを燃やして廃棄物を不適切に処理したことに対し、州汚染管理委員会は2022年10月だけでも州内の半数の工場に罰金を課していますが、工場が有毒な排出物を取り除くろ過装置を導入するには巨額の費用がかかるため、甘んじて罰金を支払っているのが現状だそうです。


豊かな国から法的規制の緩い貧しい国への廃棄物の移動は仲介業者によって促進される傾向があり、仲介業者は大規模な詐欺グループや犯罪組織とつながりがあるとも指摘されています。Bloombergは「袋や包装に使われる軟質プラスチックは最もリサイクルが難しく、経済的にもリサイクルの実現が不可能な素材の1つなので、アメリカのリサイクル業者のほとんどが処理することができないのです。アメリカの消費者はごみをリサイクルしていると思っていますが、実は間違っているのです」と指摘しました。

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in Posted by log1p_kr

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