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DeepMindが映画や演劇の脚本を共同執筆してくれるAI「Dramatron」を発表


囲碁や将棋でプロ棋士を打ち負かす腕前を持つAI「AlphaZero」やタンパク質の立体構造解析を行うAI「AlphaFold」を開発するGoogleの姉妹企業・DeepMindが、映画や演劇の脚本を「共同執筆」するためのAIツール「Dramatron」を発表しました。

Dramatron
https://deepmind.github.io/dramatron/

GitHub - deepmind/dramatron: Dramatron uses large language models to generate coherent scripts and screenplays.
https://github.com/deepmind/dramatron

[2209.14958] Co-Writing Screenplays and Theatre Scripts with Language Models: An Evaluation by Industry Professionals
https://arxiv.org/abs/2209.14958

DeepMindによれば、Dramatronは事前に訓練された既存の大規模な言語モデルによって長くまとまりのあるテキストを生成可能。ストーリーの簡単な要約やアイデアを入力することで、タイトルや登場人物の説明、各シーンのプロットと場面転換のポイント、舞台設定、いくつかのセリフをインタラクティブに生成し、脚本の作成や編集をするためのヒントを人間の作家に提示するそうです。


DeepMindは「作家のインスピレーションと探究の源であり、執筆ツールとして設計されています」と述べており、自律的に脚本を考案して仕上げるAIではなく、あくまでも人間の作家の執筆作業を補助するツールだとしています。また、Dramatronの階層的なストーリー生成構造はすべての作家の執筆プロセスに対応できるわけではないとのこと。


Dramatronの使いやすさと機能を評価するため、DeepMindは15人の脚本家や劇作家に2時間のユーザー勉強会を開いてもらい、Dramatronと一緒に脚本を共同執筆してもらったと報告しています。ある劇作家はDramatronと共同で執筆した脚本を編集した上で4本上演しているとのこと。


なお、Dramatronは資料に含まれる偏見や固定観念によって不快なテキストを生成する可能性があります。そのため、機械学習でインターネット上のヘイトスピーチを自動的に検出する「Perspective」を使用して出力したテキストの「有毒性」を推定し、フィルタリングをする緩和策が提案されています。

また、学習したデータの要素がそのままテキストに出力される可能性があるため、Dramatronの脚本をそのまま使用すると盗作になってしまう可能性があります。DeepMindは1つの軽減策として、共同執筆作業を行っている人間の作家が出力結果から盗作に当たる部分を検索して編集する作業を提案しています。

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in ソフトウェア,   動画, Posted by log1i_yk

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