ハードウェア

大容量のUSB接続バッテリーをUPS(無停電電源装置)として使うことは可能なのか?


USB接続で充電・給電するモバイルバッテリーの中には、バッテリー自身を充電しつつスマートフォンやタブレットを充電できる「パススルー充電」に対応したものがあります。この機能を搭載したUSB接続バッテリーを常時充電状態にしておきUPS(無停電電源装置)として利用することは可能なのか、IT系ブログ・Gough's Tech ZoneのDr. Gough Lui氏が説明しています。

Note: Potential Issues of Using a USB Powerbank as a UPS | Gough's Tech Zone
https://goughlui.com/2021/09/03/note-potential-issues-of-using-a-usb-powerbank-as-a-ups/


端的な答えとして、Gough氏は「運による」と述べています。

理由の1つは、そもそもUPSとして利用可能かどうかを書いている製品がほぼないためですが、それだけではなく、パススルー充電に関しても必ず示されているわけではなく、また、特定のアプリケーションに影響を与えることもあるためです。

Gough氏が一例として出したのは「Blitzwolf BW-P12」というモバイルバッテリー。


メーカーのサイトではパススルー充電に対応しているかは明記されていませんが、使用しているチップ・iSmartware SW6208のデータシートに「バッテリーの充電と外部デバイスへの給電を同時にサポートしている(支持边充边放)」と、パススルー充電対応であることが記載されています。


また、必要ない場合は無効にできること、2ポートか3ポート使用時は5Vの入出力のみサポートすること、入力電圧低下時は充電電流が減少するため、入力電圧を4.8Vにホールドして外部デバイスへの供給を優先するとの説明があります。

Gough氏が実機を用いて試したところ、パススルー充電対応バッテリーでも出力が途切れるタイミングがあったとのこと。


また、この課題を乗り越えた「出力が途切れないモバイルバッテリー」であっても、充電器には通常8時間から40時間未満の安全タイムアウトが設定されていて、部分的に短絡している可能性のあるセルに充電し続けないように設計されていて、充電速度が消耗速度を下回ってしまうことがあるそうです。

このほか、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池を用いたモバイルバッテリーは、セルから最大容量を抽出することを優先した設計になっているため、本質的に高ストレス状態にあり、セル容量が急激に劣化するとのこと。

これらの情報から、Gough氏は結論として、UPSとして利用できそうなモバイルバッテリーはあるものの、何らかの課題にぶつかる可能性が高く、目が届かない状態で長期間使用することはオススメしないと締めくくっています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
5000台分のスマホを充電可能な2700万mAhのモバイルバッテリーを自作した猛者、過去にも「自作パトロールロボット」「自走式ピアノ型BBQグリル」など - GIGAZINE

最大20W出力のスティック型バッテリー「Anker 511 Power Bank」と最大100W出力が可能な充電器「Anker 736 Charger」を使ってみた - GIGAZINE

最大20W出力が可能なモバイルバッテリー兼急速充電器「Anker PowerCore Fusion 10000」と薄さ1.5cmのモバイルバッテリー「Anker PowerCore Slim 10000 PD」レビュー - GIGAZINE

「iPhone 14 Pro」のバッテリー持続時間や有線・無線での充電速度を計測してみた - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.