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なぜ夏に計画停電しなければいけないほど電力需給がひっ迫するのか?


2022年6月7日、日本政府は夏季の電力需給ひっ迫に備えた節電要請を発表しました。このように夏に電力が不足し、計画停電などが行われるのは日本だけでなくアメリカも同様とのことで、なぜこのような電力不足が起きるのかについてモビリティ関連スタートアップのSmartcarでコンテンツマーケティングマネージャーを務めるウィノナ・ラジャモハン氏が解説しています。

What summer power outages tell us about grid modernization · Smartcar blog
https://smartcar.com/blog/what-increasing-power-outages-tell-us-about-grid-modernization/

北米電力信頼度協議会(NERC)が2022年夏の電力網に関するレポートを公開しました。ラジャモハン氏によると、レポ―トの中で特に注意すべきは以下の3点です。

1:広域系統運用機関のミッドコンティネントISO(MISO)は2021年の夏に比べて発電容量が2.3%少なくなると発表
夏のピーク需要を満たすために、MISOはエネルギー負荷をシフトして利用可能な容量に負担をかけないように、一部の資源に依存する必要があります。こうした資源には、需要反応プログラムやEV充電管理、ビハインド・ザ・メーター(電力量計の後側)の分散型エネルギー資源(DERs)などがあります。

2:干ばつは高温や乾燥により極端なピーク電力需要のリスクを高める
乾燥状態は、アメリカ西部の水力発電機および熱電発電機からのエネルギー出力に悪影響をおよぼしており、これにより電力会社は増大する電力需要を満たすため、化石燃料に頼らざるを得なくなっています。カリフォルニアで起きた干ばつによる山火事は、電力会社が地域住民の安全を考慮して、火災の危険性が高い地域での計画停電を実行することを余儀なくしました。

なお、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック・カンパニー(PG&E)はカリフォルニアの規制当局に対して、老朽化した機器が州の歴史上2番目に大きな山火事を引き起こした可能性があると指摘しています。

3:サプライチェーン問題が送電拡張プロジェクトに影響を与えている
2022年はサプライチェーン問題が悪化しており、電力会社も例外ではありません。電力網を形成するために必要なパーツが入手できず、そもそもの出荷自体も遅れており、労働力不足も伴い、夏の送電網の信頼性に悪影響をおよぼしています。例えば、アイオワ州のデニソン・ミュニシパル・ユーティリティーズの購買担当者によると、アメリカ公共電力協会に2021年初めに発注したパーツが、注文から9カ月後になってようやく届くほどの遅れが発生しているそうです。


上記の3点を踏まえ、ラジャモハン氏は「送電網の近代化は最優先事項であるということを意味しています」と言及。アメリカの送電網の一部は100年以上前のものであり、送電・配電線の70%が既に寿命の後半を迎えているとのこと。そのため、一部の有識者からは「時代遅れのエネルギー供給システムから脱却する必要がある」という声も上がっています。

ラジャモハン氏は近代的な送電網には「よりクリーンで再生可能なエネルギー資源を使用すること」および「リソース全体での需要と供給のバランスをとるために、ハードウェアに依存しない送電網を構築することでシステム全体への信頼性を向上させること」の2点が必要であると主張しています。

なお、電力会社は送電網の古いシステムを新しいものに変えるための取り組みを進めており、Smart Electric Power Allianceの調査によると公共事業の77%がDERsの導入を進めています。このDERsの事例として挙げられているのがマイクログリッド(小規模電力網)で、公営住宅団地の屋上にあるソーラーパネルや太陽光エネルギーを蓄えるバッテリー、天然ガス発電機などをエネルギー源とします。また、バッテリーを備えているため、停電時でもエネルギーの供給が可能です。


電力会社だけでなく企業が行えることもいくつか存在しているとラジャモハン氏。送電網への影響を緩和するために企業が進めていることとして、ラジャモハン氏は「API」や「電気自動車」などの存在を挙げています。APIを使用すれば、2つ以上のソフトウェアアプリケーションが相互に通信できるようになるため、電気自動車などの送電網への負荷が大きなIoTデバイスと通信経路を形成することが可能となります。そうなれば、需要応答プログラムに各車両から直接詳細で高品質なデータを提供できるようになるため、これを利用して負荷予測パターンを分析したり、顧客向けにデジタル化されたユーザーエクスペリエンスを作成したりすることが可能となり、送電網への負荷を軽減するような電力の使い方が可能となります。

また、電気自動車技術が発展すれば送電網への影響が緩和できるようになるともラジャモハン氏は主張しています。ラジャモハン氏によると、「Smartcarが主導するスマート充電プログラム」は送電網への悪影響を緩和させることが期待できるとしており、既にプログラムに参加している40%以上のユーザーが同プログラムを通した電力の現金化に成功しており、14%も近い将来に現金化することができると回答しています。

電気自動車の台数が増えると電力需要も増加します。しかし、Smartcarのスマート充電プログラムがあれば、ユーザーは自身で発電しながら電気自動車を充電したり、過剰に発電してしまった電力はバッテリー上に貯めておいたり、電力会社に売ったりすることも可能となります。

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in メモ, Posted by logu_ii

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