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国債のオンライン購入サイトでUI/UXが最悪過ぎて200万円以上を一時的に失った話


オンラインサービスにおいて、システムそのものだけではなく、ユーザーの快適さにつながるユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)も重要です。アメリカの物価連動国債である「I-bond」を政府のサイトでオンライン購入しようとしたらUIとUXが最悪だったと報告するブログ投稿が、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsで話題となっています。

https://beanlog.vercel.app/ibonds
https://beanlog.vercel.app/ibonds

I accidentally loaned all my money to the US government | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=31222506

I-bondは物価の動向に連動して元金額が増減する国債です。つまり、I-bondの発行後に物価が上昇すれば、I-bondの元金額も増加します。ブログの著者によれば、2022年5月よりも前に購入すれば、次の12カ月後に最大8.5%のリターンが期待できるとのこと。I-bondは年間1万ドル(約130万円)まで購入できるため、1年で最大850ドル(約11万円)をゲットできることとなります。


そこで、ブログ著者はアメリカ政府の国債購入サイトであるtreasurydirect.govにアクセスして国債を購入したとのこと。しかし、ブログ著者は「今までたくさんの悪いUXを見てきたが、treasurydirect.govはトップクラスにひどいかもしれない」と述べています。

まず、treasurydirect.govではパスワードの入力を仮想キーボードで行うとのこと。しかしブログ著者は「この方法ではBOTの自動入力を防ぐことができず、単に人間のユーザーの入力速度を低下させるだけだ」と主張。ただし、Hacker Newsでは「仮想キーボードの目的はキーロガーの阻止であり、BOTによる自動入力の阻止だけでありません」と指摘されています。


さらに実際の購入画面が以下。ここには各国債をラジオボタンで選択できますが、肝心の金利がどこにも書いていないため、自分が正しい国債を選択して購入しているかどうかが分かりづらくなっています。


このUIでいきなり1万ドルのI-bondを購入するのは怖いと考えたブログ著者は、まず手始めに25ドル(約3300円)分だけ購入しました。取引の処理には数日かかったものの、以下の画面を見ると順調に購入処理は行われた模様。


そこで、ブログ著者は残り9975ドル分を購入することにしました。しかし、金額を入力する画面に移った時に「もしこの画面で『1万ドル』という金額を入力したら、9975ドル分だけ購入できて25ドル返ってくるのだろうか?それともエラーが表示されて購入に失敗するのだろうか?」と疑問に思ったとのこと。

そこで、ブログ著者は好奇心に駆られて「1万ドル」と金額を入力して購入処理を行ったところ、購入リクエストは無事完了したとのこと。その後、ブログ著者が予想していた通りに処理失敗の通知メールが届いたそうで、その文面が以下。


メールには「あなたの購入額は国債の年間購入制限額を超えています。超過購入の払い戻しは銀行に8~10週間後に振り込まれます」とありました。この文面では「購入が無効になって1万ドルが戻ってくる」のか、「9975ドルの購入には成功して超過分だけが返ってくる」のかは不明ですが、ブログ著者はおそらく前者だと解釈しています。

ブログの著者は「treasurydirect.govは私のお金をすでに受け取りました。そしてそれを返すのに8~10週間かかるのですか? バックエンドサーバーはあるのでしょうか、それとも単にネズミが紙幣を扱ってるんでしょうか?」とコメントしています。

その後、まだ自分の預金口座に1万ドル残っていたことを思い出したブログ著者は、改めて9975ドル分を購入。しかし、再び「あなたの購入額は国債の年間購入制限額を超えています。払い戻しは銀行に8~10週間後に振り込まれます」というメールが来たそうで、手元には173.12ドル(約2万2000円)と25ドル分のI-bondだけが残りました。

Hacker Newsには、「アメリカ政府はまるでコンピュータのようで、相談することも問題を解決することもできないようです。何か問題が起きたらおしまい、みたいな感じです」「私は政府のソフトウェアを扱う時、与えられた情報から最悪のケースを想定しなければならないことを学びました」とアメリカ政府の対応の悪さを嘆くコメントが寄せられています。

また、「ルールに違反する取引を意図的に行おうとしてうまくいかなかったのは当然なのでは?」「もし銀行のアプリで仕様を確認したい衝動に駆られても、この話を教訓にやめておこうと思います」というコメントもありました。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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