ライオン・ゾウなどの希少肉を人工的に再現して食べられるようにするプロジェクトがスタート
イギリスの人工肉開発スタートアップ・Primeval Foodsが「ライオン・ゾウ・トラ・シマウマなどの希少動物の人工肉を作る」というプロジェクトを発表しました。
Lion burger? Tiger tacos? Meet the cell cultured start-up working in exotic meats
https://www.foodnavigator.com/Article/2022/03/30/lion-burger-tiger-tacos-meet-the-cell-cultured-start-up-working-in-exotic-meats
World’s first lab-grown lion meat to come to London | The Independent
https://www.independent.co.uk/climate-change/lion-meat-lab-grown-world-first-b2047237.html
Startup Says It’s About to Start Selling Lab-Grown Tiger Steaks to Restaurants
https://futurism.com/the-byte/startup-lab-grown-tiger-steaks-restaurants
近年は畜産が炭素排出量の数パーセントを占めているという研究結果や動物愛護の観点から畜産を経ずに食べられるお肉を作り出すという人工肉産業が盛んになってきていますが、こうした人工肉産業で生産されているのは牛・豚・鶏などいわゆる「普通に買えるお肉」を模した人工肉が主流です。
新たにPrimeval Foodsが開発しようとしているのは、シベリアトラ・ヒョウ・クロヒョウ・ベンガルトラ・ホワイトライオン・ライオン・シマウマなどの人工肉。同社は大型ネコ科の細胞を飼育下の個体から、シマウマの細胞を食肉市場から採取し、各細胞を培養して人工肉を生産します。
シマウマ肉を使った寿司のイメージはこんな感じ。
Primeval Foodsによると、人工肉産業はいまや1兆ドル(約128兆円)という規模に達しており、同社のような野心的な企業に広く開かれている市場とのこと。同社の運営母体であるAce VenturesのYilmaz Bora氏は、「現代では牛肉や鶏肉などが一般的に食されていますが、これは牛肉や鶏肉が味や栄養の観点で最も優れているというわけではなく、単に牛や鶏が『最も家畜化しやすい』というだけにすぎません。培養肉という技術によって畜産という過程を経ずに肉を得られるため、『最もおいしく、最もヘルシーで、最も栄養的に優れた肉』を追求できるようになりました」と述べ、人工肉という技術によって環境を犠牲にすることなく牛・豚・鶏を超えた食肉の新たな可能性を探究できるようになるという見解を示しました。
Primeval Foodsは報道時点では「希少生物肉のパテ」の商品化に動いており、最終的にはスーパーマーケットでの販売を目指していますが、まずは当局の承認を得てミシュランガイドに掲載されたレストランにライオン・トラ・シマウマの肉を卸すことを予定しているとのこと。Bora氏は「目標は何らかの形で世界の主流となることです。私たちは商品を世界的に流通させることを望んでいます。しかし、まずは素晴らしい食事体験を作り出せるシェフに対して我が社の肉を提供することで、消費者に受け入れられることを目指します」とコメントしています。
・関連記事
「培養鶏肉」のチキンナゲットが世界初の当局承認を得て市販化へ - GIGAZINE
マクドナルドが肉不使用の人工肉パティを使った「McPlant」をついにアメリカでテスト販売へ - GIGAZINE
植物由来の人工肉は健康にいいのか? - GIGAZINE
・関連コンテンツ