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中国の小売り大手が3兆9200億円で輸出業者の国内販売を支援、アメリカを見限り国内回帰を目指す動きが加速


トランプ政権が打ち出した関税をめぐるアメリカと中国の貿易戦争が激化する中、中国の小売り企業が、それまで海外への輸出を主軸としてきた企業に対し、製品を国内に振り向けることを支援する取り組みを相次いで発表しました。

China's retail giants pledge to help exporters go domestic amid trade war | Reuters
https://www.reuters.com/business/retail-consumer/chinas-jdcom-spend-200-billion-yuan-help-exporters-go-domestic-amid-trade-war-2025-04-11/

The U.S. and China Are Going to Economic War—and Everyone Will Suffer - WSJ
https://www.wsj.com/economy/trade/us-china-tariffs-trade-war-6f143252


中国企業・京東商城が提供しているECサイトのJD.comは2025年4月11日に、中国の輸出業者による国内販売を支援するため、2026年中に2000億元(約3兆9200億円)の基金を立ち上げると発表しました。

JD.comは、対外貿易をしている中国企業に社員を派遣し、それらの企業が扱う「高品質製品」を直接買い上げて、自社の電子商取引プラットフォーム上に設けた特別エリアで販売し、そのエリアへのトラフィックの誘導やマーケティングサポートを直接提供するとしています。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は4月10日に、中国製品への関税をこれまでで最も高い145%に引き上げました。また、これに対抗して中国政府が125%の報復関税を打ち出すなど、アメリカと中国の対立が急速に深まっており、JD.comの今回の発表はこれに対応するためのものだといわれています。

by Daniel Cukier

JD.comのライバル企業も同様の取り組みを発表しています。Alibaba傘下のスーパーマーケットチェーンで、現地では「盒馬(フーマー)」と呼ばれているECサイトのFreshippoは、輸出に特化した企業の製品専用のゾーンを自社のプラットフォーム上に特設する予定だと発表しました。

この取り組みには、Freshippoのサイトへの登録手続きを簡素化し、同社の倉庫ネットワークを活用できるようにすることで、輸出事業者らによるプラットフォームへの参入を容易にする狙いがあります。


中国の輸出企業が国内市場に参入するということは、経済の減速が鮮明になりつつある同国での激しいパイの奪い合いに身を投じることを意味しますが、大手ECプラットフォームらによる支援を受けて迅速に国内の販路を切り開くことにより、海外での売上減少による損失の一部をカバーできる可能性があります。

中国の大手スーパーマーケットを運営するChina Resources Vanguard(華潤萬家)とYonghui Superstores(永輝超市)の2社が同様の支援策を発表するなど、国内回帰を支援する動きはECサイトだけでなく実店舗にも広がっています。

Yonghui Superstoresは発表の中で、「世界経済の情勢が変化し、国際貿易戦争が激化する中、数え切れないほどの中国のサプライチェーン企業は、屈服したくない気持ちと、熱望する気持ちの両方を抱いています。輸出が行き詰まり、国内販売にシフトするのであれば、私たちは 『グリーンチャンネル(申告すべき物品を持たない人が通る税関の通路)』を開き、15日以内にそれらの企業の製品を私たちの棚に並べます」と述べました。


トランプ政権が、中国以外の国への追加関税を90日間停止したり、中国を含めた海外から輸入されるスマートフォンなどの電子機器を関税の対象外にしたりと、貿易戦争はわずかに沈静化する動きを見せていますが、2024年の全輸入品の13%を占める中国との貿易関係の緊張は、両国の経済に甚大な影響を与えています。

アメリカの消費者は、2020年ごろからの5年間で24%の物価上昇に苦しめられており、中国から輸入される安価な製品への依存度が高かったアメリカ人の生活は今後さらに苦しくなるとみられています。

また、不動産バブルの崩壊や消費の低迷に悩む中国にとっても、アメリカ市場の喪失は痛手で、金融コンサルティング会社・Capital Economicsのアナリストは「中国の対米輸出は今後数年で半減する」と分析しているほか、フランスの大手銀・Societe Generaleのアナリストは「ほぼ全滅する」と予測しました。

ある玩具メーカーはThe Wall Street Journalに、「中国は妥協すべきではないと思います。結局のところ、理不尽なのはアメリカの方ですから」と話しました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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