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新型コロナのロックダウン中に観察された「行動パターンの男女差」とは?


2020年から2021年にかけて生じた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は、経済・生活・労働など各方面に多大な影響を与えました。流行のまっただ中で発されたロックダウンの中で120万人もの携帯電話データを観測するという研究によって、「ロックダウン中の男女は行動パターンが大きく異なる」ことが確認されました。

Behavioral gender differences are reinforced during the COVID-19 crisis | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-021-97394-1

The first coronavirus lockdown revealed big behavioral gender differences
https://phys.org/news/2021-09-coronavirus-lockdown-revealed-big-behavioral.html

新たにロックダウン中の男女の行動パターン差に関する研究を発表したのは、オーストリアの複雑系やビッグデータを専門とする学術機関であるComplexity Science Hub Vienna(CSH)に所属するトビアス・ライシュ氏ら。ライシュ氏らは、オーストリアがロックダウンを実施した2020年3月16日から10人以上の集会が許可された5月1日までの期間を含む2020年2月1日~6月29日という期間において、CSHがオーストリアの主要なインターネットサービスプロバイダーから匿名化された電気通信データへのアクセスを許可されたことを受け、同期間中の「人々の行動データを評価する」という研究を実施。オーストリアの人口の15%に相当する120万人分のデータセットについて、男女の行動パターンを分類しました。

その結果、封鎖が課された直後から男女ともに携帯電話の通話時間が飛躍的に増加したという点では共通していましたが、その通話時間の増加には性別が大きく関わっているということがわかりました。ライシュ氏らによると、ロックダウンの前後で女性から女性にかけた場合の通話時間は140%増加しましたが、男性から女性にかけた場合の通話時間は100%増、女性から男性にかけた場合の通話時間は80%増、男性から男性にかけた場合の通話時間は66%増にとどまったとのこと。


また、電気通信データが示す特定のエリアに居る人の数から得られた行動パターンについても、男女の差が明確に表われていました。ライシュ氏らによると、ロックダウン後に外出者数が減ったという点では男女ともに共通でしたが、女性のほうが外出者数の減少率が高く、なおかつ長い期間にわたって外出を自粛することが示されました。


ライシュ氏らは「外出者の性差は週末に縮まる傾向があり、男性は仕事の関係で通勤回数が多い上に通勤時間も長いことが確認されているため、雇用が男女間の差を説明する主な要因だと考えられます」とコメントしました。

今回の研究に携わったCSHのステファン・ターナー所長は「今回の調査は電気通信データによって、個人の匿名性を侵害することなく、社会的洞察を迅速かつ低コストで得られることを改めて示しました」「私たちは何千人もの人々を対象とした大規模な調査を行わなくても、今現在いる場所で人々の行動を見ることができます」とコメントしました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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