アルツハイマー病の90%以上はたった1つの遺伝子が原因かもしれない

アルツハイマー病" target="_blank">アルツハイマー病は認知症の中で最もよく知られたタイプであり、さまざまな要因が絡んで発症すると考えられがちです。ところが、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームは「APOE」という遺伝子の違いが大部分のアルツハイマー病の症例に関わっている可能性があると報告しました。
The proportion of Alzheimer’s disease attributable to apolipoprotein E | npj Dementia
https://www.nature.com/articles/s44400-025-00045-9
Most Alzheimer's cases linked to variants in a single gene | UCL News
https://www.ucl.ac.uk/news/2026/jan/most-alzheimers-cases-linked-variants-single-gene
Just One Gene May Be Responsible For Over 90% of Alzheimer's Cases : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/just-one-gene-may-be-responsible-for-over-90-of-alzheimers-cases

APOE遺伝子は、体や脳の中でコレステロールなどの脂を運ぶタンパク質「アポリポプロテインE」を作るための設計図にあたります。
APOE遺伝子には主に3つのタイプがあり、慣例的に「ε2」「ε3」「ε4」と呼ばれています。科学系メディアであるScience Alertは「この3つのタイプの組み合わせによって作られるタンパク質の形や働きが変わり、神経細胞の手入れ・炎症のコントロール・脳にたまるアミロイドβの除去など脳の働きにも影響する」と説明しています。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンに所属するディラン・ウィリアムズ氏らの研究チームは「アルツハイマー病患者全体のうちどれほどの割合がAPOE遺伝子の違いと関連しているのか」という規模感を明らかにするため今回の研究を行いました。APOE遺伝子の違いがアルツハイマー病と関係する割合が大きいのであれば、APOE遺伝子やアポリポプロテインEに関するアルツハイマー病の予防法・治療法の研究を優先する理由になるためです。
今回の分析で使われた考え方は「もしAPOE遺伝子の影響がなかったら患者はどれくらい減るはずなのか」というもの。推定の材料として、ウィリアムズ氏らは参加者総数45万人以上の4つの巨大データを使いました。医療記録に残った診断情報によってアルツハイマー病や認知症を追跡するデータに加え、脳の画像検査でアミロイドの蓄積を確認するデータ、解剖などで病気を確定したケースを含むデータも使用しています。
分析の結果、ウィリアムズ氏らは「APOE遺伝子のε3とε4がなければアルツハイマー病の72~93%は起きなかった可能性がある。認知症全体でも約45%がAPOE遺伝子の影響と関連すると推定された」と報告しています。下のグラフの縦軸のPAFは「Population Attributable Fraction」の略で、「その遺伝子の影響がなかったら、集団全体で患者が何%くらい減る見込みか」という推定値です。グラフを見ると分かるように、他のリスクとなる遺伝子と比べてε3・ε4との関連性の大きさが目立つ結果になっています。

ここで注意したいのが認知症とアルツハイマー病の違いです。認知症は記憶や判断などの働きが弱っていく状態をまとめて指す言葉で、原因となる病気はいくつもあります。一方のアルツハイマー病は認知症の中のタイプの1つであるため、認知症全体で数字を出すとアルツハイマー病以外の原因も混ざる分だけAPOE遺伝子が影響する割合が小さくなるというわけです。
今回の研究で重要なのは、これまで「一番よくある普通の型」だと見なされがちだったε3を無視できない要因として扱った点です。この点についてScience Alertは「ε3が非常に一般的なタイプであるため重大さが目立ちにくかった可能性がある」と説明しています。
ウィリアムズ氏らは「ε4だけでなくこれまで普通の型だと思われてきたε3もリスクに関わるものとして計算に入れると、APOE遺伝子の影響が及ぶ範囲が一気に広がってアルツハイマー病の大半に関わっているように見えてくる」と述べています。さらにAPOE遺伝子とアポリポプロテインEを、強力だが十分に注目されてこなかった創薬ターゲットだとして「APOE遺伝子そのものや、APOE遺伝子からアルツハイマー病に至るまでの分子の道筋を分析する研究を優先すべき」とウィリアムズ氏らは主張しています。
一方で、ウィリアムズ氏らは「最もリスクが高いとされるε4を2つ持つ人でも、生涯リスクは100%ではなく70%未満と見積もられる」と説明しています。つまり、遺伝子だけでアルツハイマー病になるかどうかが決まるという話ではなく、他の遺伝的要因・環境・生活習慣も重なって発症するかどうかが決まるということです。
ウィリアムズ氏らは遺伝子やタンパク質を狙って治療するのは簡単ではないとしつつも「APOE遺伝子が関わる割合が想像以上に大きいのであれば研究する価値も大きい」と述べ、今後の課題としてAPOE遺伝子がアルツハイマー病のリスクに影響する仕組みやリスクを左右する要因を解き明かす必要があるとしています。
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in サイエンス, Posted by log1b_ok
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