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多数の聖職者が「ゲイ向け出会い系アプリ」を使っていたことが発覚しバチカンが大揺れ、恋人のためにお布施を盗んでしまう事件も


カトリック教会の聖職者は禁欲の誓いを立てているため、相手の性別や年齢によらず性的な行動は慎まれるべきだとされています。しかし、ローマ・カトリック教会の複数の聖職者がゲイ向けの出会い系アプリ「Grindr」を利用していたことなどが立て続けに暴露され、総本山であるバチカンに動揺が走っていると報じられました。

Catholic Officials on Edge After Reports of Priests Using Grindr - The New York Times
https://www.nytimes.com/2021/08/20/nyregion/pillar-grindr-catholic-church.html

Vatican in freakout mode after discovering litany of priests on Grindr / Queerty
https://www.queerty.com/vatican-freakout-mode-discovering-litany-priests-grindr-20210820

McLoone admits thefts from St. Joseph’s – Daily Local
https://www.dailylocal.com/2021/09/30/mcloone-admits-thefts-from-st-josephs/

一連のスキャンダルの発端は、カトリック系ニュースブログ・The Pillarが2021年7月20日に、アメリカ合衆国カトリック司教協議会(USCCB)の議長だったジェフリー・バリル氏がゲイバーに出入りしているとUSCCBに密告したことです。これを受けて、バリル氏は即日議長職を辞任しました


The Pillarが入手したバリル氏のものとされる携帯電話の通信記録によると、バリル氏は2018年から2020年の間にほぼ毎日ゲイ向けの出会い系アプリである「Grindr」を使用していたとのこと。また位置情報の記録は、バリル氏が教会の仕事で出張していた間でさえ、Grindrを使いながら各地のゲイバーや個人宅を訪れていたことを示していたそうです。

The Pillarはさらに、7月24日には「アメリカ・ニュージャージー州北東部にあるニューアーク大司教区にある複数の聖職者の邸宅からGrindrの通信記録が発信されていた」と発表。28日には「バチカン市国にある一般人立ち入り禁止のエリアで、少なくとも16台のモバイル端末でGrindrを使用した形跡があり、別の16台では異なる出会い系アプリを使用していた」と報じたことで、スキャンダルはアメリカからバチカンにまで飛び火しました。

キリスト教系の政治団体・Faith in Public Lifeの責任者であるJohn Gehring氏は、ニューヨーク・タイムズの取材に対して「アメリカ中の教区やバチカンでこのような暴露が続けば、教会関係者の間で大騒ぎになることは間違いありません」とコメントしました。

また、一連の騒動を受けてGrindrは公式ブログを更新し、「The Pillarのような小さなブログがどのようにしてユーザーデータを入手したのかを調査しています」と発表。The Pillarによる告発を「ホモフォビア的な魔女狩り」と呼んで非難しました。

by Ivan Radic

アメリカでは、その後もGrindrにまつわる聖職者の不祥事に関する報道が続いています。ペンシルバニア州の地元紙であるDaily Localは9月30日に、同州にある聖ヨセフ教会の司祭だったジョセフ・マクルーン神父が、教会の資金を不適切に使用したことを認めたと報じました。報道によると、マクルーン神父は在任中の2011年~2018年の間に、毎年恒例の行事である万霊節で集められた献金など合計約3万ドル(約340万円)を盗み、Grindrで知り合った男性に貢ぐなどして使い込んだとのこと。

裁判資料には、Grindrを通じてマクルーン神父と知り合い、マクルーン神父から金銭を受け取った男性の1人は、記事作成時点ではニューヨーク州の刑務所に収監されている受刑者だと記載されています。受刑中の男性になぜ送金したのか尋ねられたマクルーン神父は、「相手は、私が聖ヨセフ教会に赴任する前の教会の信者だった」と供述しました。


窃盗の疑いで2019年に逮捕されたマクルーン神父は、2021年9月30日に開かれた法廷で容疑を認め、有罪判決を受けました。記事作成時点で58歳のマクルーン神父には、前科がないことなどから監視付きの執行猶予が与えられ、不正に使用した資金の返還や300時間の社会奉仕活動、信者や教会に対して謝罪の手紙を書くことなどが命じられました。

マクルーン神父は任期中は信者から敬愛されていた司祭で、2011年に児童に対する性的虐待で告発された別の司祭の後任だったこともあって、信者の間では失望が広がっているとのこと。

長年聖ヨセフ教会に通っているという匿名の信者は取材に対し、「失望し、うんざりしています。マクルーン神父は私たちの神父だったのに、彼を信頼する人々からたくさんのお金を盗みました。私たちの教区は3年以上も正義の裁きを待ってきましたが、執行猶予や金の返済命令は正義とは言えません。マクルーン神父は刑務所に入るべきでしょう」と話しているとのことです。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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