ウィーン観光局が「ポルノの直売所」と呼ばれるSNS「OnlyFans」に18禁アカウントを開設
「InstagramやFacebookなどの主要なソーシャルメディアは、ヌードや『スケベな』コンテンツを監視しています」ということで、オーストリア・ウィーンの観光局が、美術館が所有する18禁コンテンツについて配信するアカウントを、「ポルノの直売所」と呼ばれるSNS・OnlyFansに開設したことを発表しました。この背景には、ヌードを扱った作品が理由でSNSアカウントが繰り返しBANされてしまうという事情があるようです。
Vienna laid bare on OnlyFans - VIENNA – Now. Forever
https://www.wien.info/en/sightseeing/museums-exhibitions/of-411216
Museum Starts OnlyFans Account After Its TikTok Is Banned for Posting Nudes
https://www.vice.com/en/article/93b995/museum-starts-onlyfans-account-after-its-tiktok-is-banned-for-posting-nudes
絵画や彫刻といった芸術作品の中には「社会に受け入れられるものの境界線を試す」という意図から、ヌードを扱った挑発的な作品が多く存在します。ウィーンを拠点として活動したエゴン・シーレやコロマン・モーザーといった芸術家も、当時はタブー視されていた性的なテーマを扱い大きな非難を受けながらも、現代では作品が高く評価されています。これらの作品は100年前に検閲と戦ったことで知られていますが、現代においてもSNSの検閲でより厳しく禁じられるようになってしまったとして、ウィーンの観光局と美術館はポルノを扱うSNS・OnlyFansでのアカウント開設を発表しました。
IT系メディアのMotherboardが取材を行ったところ、ウィーン観光局の広報担当者は2021年7月に荒木経惟氏の作品を投稿したことが理由でアルベルティーナ美術館のTikTokアカウントがBANされてしまったことを明かしました。「ウィーンの美術館は、新しいタイプの『過度な潔癖さ』の犠牲となった組織です。ソーシャルメディアのガイドラインのもとでは著名な絵画や彫刻がブラックリストに入ってしまい、何度も違反者とされ、アカウントが一時的に凍結されるという事態が繰り返されています」「このような経緯から、私たちは世界的に有名でありながら『露骨な』作品をOnlyFansで公開することを決めました」とのこと。
過去にウィーン観光局のSNSではヌード作品について「ビーナスと、ビーナスの盛り上がったところを見たいですか?」といったキャプションで、からかうような投稿を行っていました。これらについてもガイドラインに抵触した模様。
Vienna strips on OnlyFans - YouTube
ウィーン観光局のOnlyFansアカウントは以下から。アカウントの説明欄には「ウィーンの18禁コンテンツを購読して、実物を見るための無料チケットを入手してください!」と書かれています。ウィーン当局はVienna City Cardという観光用のチケットを販売しており、これによって美術館の1つに無料で入れるようになるとのことです。
OnlyFans
https://onlyfans.com/viennatouristboard
なお、OnlyFansはコンテンツ制限が緩く、ポルノコンテンツを直接販売することができるためセックスワーカーにとっても助かる存在でしたが、2021年8月に性的コンテンツの規制に踏み切ることを発表。これは一部の銀行がOnlyFansへの電信送金を遮断したことが理由とされましたが、その後、銀行が性的コンテンツを容認したために発表は撤回されました。このような経緯から、金融機関によって「事実上の検閲」が可能になることが引き続き懸念されています。
「OnlyFans」を始めとする性的なプラットフォームに金融機関が与える影響とは? - GIGAZINE
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