ルーベンスの絵画がFacebookに「不適切」だとして削除される問題でベルギー観光局が必死の取り組み
ベルギー観光局はFacebookにピーテル・パウル・ルーベンスのヌード絵画を投稿して削除されてきたことから、Facebookのポリシーへの抗議の意味を込めて、「美術館でヌード絵画を見ている人でSNSアカウントを持っている人を強制退場させる」というユニークな試みを行いました。
Belgian museums take on Facebook over artistic nudity in advertising
https://mashable.com/2018/07/30/belgian-museums-facebook-artisitic-nudity/
ヌード絵画を見ている人が「あなたを守るためです!」と次々に強制退場させられる様子は以下から。
Social media doesn't want you to see Rubens' paintings - YouTube
ベルギー・フランダースにあるルーベンスの家に所蔵されているルーベンスの絵画にはヌードが多く含まれます。
そこにやってきた「fbi」というロゴ付きの制服を着た男性たち。ロゴの下には「FOR YOUR OWN SECURITY(あなた自身の安全のために)」という標語が掲げられています。
絵画を見ていたところ、突然fbiに話しかけられた男女2人組。
驚きの表情のまま「ソーシャルメディアのアカウントを持っていますか?」と尋ねられます。
別の男性にも同じことを尋ねられます。「やっていない」と答えると「ありがとう」と言ってfbiは立ち去りますが……
「やっている」と答えると……
「あなたをヌード絵画の前から退場させなければ」と強制的に追いやられます。
「あなたをヌード絵画から守るためです!」と両手で視界をふさぎます。
「この絵画はお尻や胸など個人の体の特定部位にフォーカスを当てています」という言葉と共に突然の強制退場にポカンとする人もいれば……
「あなたを守るためです」という誘導に思わず笑い出す女性も。
目隠しされる女性。
べろんと服をめくり上げて「私も服をぬぐ必要ある?」と尋ねる女性もいました。
ベルギーの観光局はFacebookにルーベンスのヌードを含む絵画を投稿して何度も削除されており、かねてから芸術分野のヌードの扱いについてルールの変更をFacebookに求めていました。2018年8月現在、通常の投稿においてはヌード絵画は削除されませんが、広告プラットフォーム上では削除されてしまうためです。
ベルギー観光局はマーク・ザッカーバーグCEOに「画家によって描かれた裸の胸やお尻がポリシーによって『不適切』だと見なされます。これまでに何度も最愛のピーテル・パウル・ルーベンスの絵画が削除されてきました」という文面を10回以上送っているとのこと。ムービーも、観光局の訴えの1つだというわけです。
そして、取り組みのかいあって、Facebookはベルギー観光局と絵画におけるヌードについて話しあうことに合意しました。
ただし、同様の事態は2017年3月にフランス人画家・ウジェーヌ・ドラクロワの作品をめぐって起こっており、これが初めてというわけではありません。かつては全てのヌード絵画が禁じられていたため、Facebookは進歩してきたといえますが、まだまだ取り組むべき問題は残されているといえそうです。
・関連記事
なぜ昔の彫像のペニスはあんなに小さいのか? - GIGAZINE
ペニスのサイズと男性の自尊心の関連を調べる研究者が「3600枚のペニス写真」を募集中 - GIGAZINE
数百人の男女が一斉ヌード、スーパーの屋上で - GIGAZINE
約100年にわたる映画の性的なシーン検閲の歴史 - GIGAZINE
「濡れ場こそが見せ場」というエロティックな映画14作品 - GIGAZINE
・関連コンテンツ