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商品名やブランド名に含まれる言語学的なトリックとは?


商品名やブランド名には、名前を初めて耳にしたユーザーが親しみを持ちやすいような言語学的トリックが含まれていることがあります。そんなブランド名を作成するテクニックについて、社会言語学者のエリカ・ブロゾフスキー氏が解説しています。

The Hidden Linguistic Messages in Brand Names! | Otherwords - YouTube


商品名やブランド名を名付ける際には、原材料名や発明者の名前をつけたり、フォードの「モデルS」「モデルT」のように型番を名付ける単純な場合もありますが、ユーザーの無意識な欲求を活性化させることを狙って専門の言語学者を雇うケースもあります。

ブロゾフスキー氏はまず、ネーミングのテクニックとして「alliteration(最初の音の繰り返し)」を挙げました。例えばコカ・コーラは、原材料であるコカを商品名にしたもののため言語学的なトリックを狙ったものかは分かりませんが、「Coca」「Cola」と「Co」の音を繰り返すことで耳に心地良く覚えやすくなります。


また、口を広げる音と閉じる音が交互に続く構造になっているものは、赤ちゃんが最初にマネするような発音しやすいパターンとなっており、ネーミングのトリックとして使われるそうです。


しかし、「ドカ・ドーラ」という商品名があった場合でも「コカ・コーラ」と同じようにユーザーに好まれるかというとそうではない可能性があります。「単語に含まれる特定の音がその意味に影響を与えるか」という「音象徴」の議論は、プラトンの対話篇「クラテュロス」でも議論されているほど古くからある議題です。例えば「R」から始まる単語は「run(走る)」「road(道)」「river(川)」のように、動きに関する単語になっており、そのイメージからスポーツや乗り物などに関連したブランド名に「R」から始まる名前が使われることがあります。


音象徴に関する有名な実験に、2001年に行われたブーバ・キキテストがあります。これは、異なる言語圏の被験者にアメーバのような丸っこい図形とウニのようなとがった図形を見せて「どちらかがブーバ、どちらかがキキ」と伝えたところ、95%が「ブーバ」を丸い形、「キキ」をとがった形と連想する傾向があると判明したというもの。また、異なる言語間で悪態をついたり誰かに悪口を言ったりする時に使用する言葉に共通する特徴があるという研究結果もあります。

「悪口」には異なる言語でも共通の特徴があるという研究結果 - GIGAZINE


音象徴が正しいとしても言葉のほとんどは恣意(しい)的であり、「どのように教育されてきたか」によって単語の認識は変わるため、「『犬』という名前の方が猫の名前っぽい」などと思うことはあまりありません。しかし、なじみのない単語に遭遇すると脳は音からも意味の手がかりを探す傾向にあり、新商品や新ブランドは基本的になじみのない単語になることから、音象徴の考え方が重要になるというわけです。


より具体的なネーミングのトリックとして、母音の扱い方があります。母音は舌の最も高く盛り上がった位置が最も前で調音される「前舌母音」と最も後ろで調音される「後舌母音」、その中間に位置する「中舌母音」と分類されます。ブロゾフスキー氏によると人はなじみのない単語を耳にした際に、前舌母音は「小さい」「軽い」「鋭い」「女性的」、後舌母音は「重い」「丸っこい」「男性的」といったイメージと結び付ける傾向にあることがわかっているとのこと。


さらに子音については、「カ行」や「パ行」のような「無声破裂音」はより小さく鋭いもの、「バ行」や「ダ行」のような「有声破裂音」はより強く豪華なものとして捉えられることが多くなっています。そのほかにも「サ行」や「f」から始まる摩擦音は柔らかく軽やかな音と考えられたり、「鼻音」と呼ばれる「m」「n」の音はおいしい食べ物と結び付けられたりと、子音の選択も重要な意味を持っています。


これらのトリックはあくまで傾向的なものであり、厳格なルールというわけではありません。中には、柔らかく軽い商品の名前なのに硬い印象の母音や子音が用いられて人気になった結果、「ジェネリシド」と呼ばれる商標の普通名称化が発生し、音象徴から受ける印象とは正反対のフレーズが定着する場合もあります。

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