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子どもを守るためという大義名分で推進される「オンライン年齢確認システム」が絶対に許されるべきでない理由とは?


近年はオンライン空間で子どもの安全を守るという名目で、インターネット上のあらゆるサービスやアプリに「オンライン年齢確認システム」の導入を義務づける動きが進んでいます。一見すると子どものためを思った施策に思えるかもしれませんが、プライバシー活動家のグレン・メーダー氏は「絶対にオンライン年齢確認システムを許してはならない」として、右派や左派も関係なくすべての人が断固として反対するべきだと訴えています。


メーダー氏は、オンライン年齢確認システムは「デジタル制御網のあらゆる要素を可能にするインフラ」であり、これを許してしまうとオンラインでの自由がすべて失われてしまうと主張。その理由として、年齢確認にはデジタルIDを使った本人確認が必要であることを挙げています。つまり、子どもの保護を目的にオンライン年齢確認システムが導入されれば、オンラインで発言したり、閲覧したり、投稿したりする前に、子どもだけでなく大人も含めた全員がデジタルIDによる認証を受ける必要が生じるわけです。

メーダー氏は、「年齢確認はトロイの木馬です。一度それが侵入すれば、監視国家が本格的に稼働し始めてしまいます」「自由を愛するならオンラインでの年齢確認をやめるべきです。家族を愛しているなら、オンラインでの年齢確認をやめるべきです。子どものために最善を尽くしたいなら、オンラインでの年齢確認をやめるべきです」と述べ、急いで行動しなくては間に合わないと警告しています。


一度でもオンライン年齢確認システムが導入されれば、それを撤回することも困難になってしまいます。すべてのウェブサイト・プラットフォーム・アプリ・ウェブサービスの利用時に、ユーザーの身元とオンライン上の行動が結びつけられ、そのデータは永続的に保存・監視・追跡されることとなります。

特にメーダー氏が問題としているのが、子どもの保護を装って導入されようとしているオンライン年齢確認システムが、実際は今日の子どもたちを生涯にわたって「奴隷」のように支配するためのものだという点です。オンライン年齢確認システムが当たり前の世界で育った子どもたちは、匿名でアイデアを追求することも、自分の経歴に傷を付けずに政府や権威に異議を唱えることも、「自分の発言が誰かに悪用されるかも」という恐怖なしにオンラインで発言することも不可能です。

メーダー氏は、「彼らはデジタル上の監視空間の中で育つことになるでしょう。そしてあなたは子どもたちに、その監視空間が作られていくのを目の当たりにしながら、チャンスがあったにもかかわらず止めなかったことを、伝えなければならないでしょう」と述べました。


一方で、オンライン年齢確認システムを推進している政治家や有力者、企業などは自分たちが何をしているのか正確に理解しているとのこと。メーダー氏は、「彼らは子どもたちを守ろうとしているのではありません。彼らは子どもたちを武器として利用し、公然には決して実現できない監視インフラを構築しているのです。彼らは、あなたが子どもたちを永遠に支配するために設計されたシステムから守ることよりも、『理性的であるように聞こえること』を優先するだろうと当てにしているのです」と指摘しています。


オンライン年齢確認システムなどの政治的な話題を出すと、「あの人は野党支持者だから反対しているのだろう」「この主張に反対するのは左派やリベラルばかり」「自分は与党の言うことに賛成したい」という風に、右派や左派といった政治的な信条や、支持している政党の問題だと結びつけられがちです。

しかしメーダー氏は、これは右派や左派、あるいは共和党支持か民主党支持かといった問題ではなく、「自由か奴隷制か」「子どもたちが自由に育つか、監視されて育つか」という政治的信条を超えた問題だと主張。「年齢確認法は、共和党支持州でも民主党支持州でも推進されています。共和党員も民主党員も、笑顔で『あなたの家族のことを気にかけています』と言いながら、あなたの子どもたちをオリに閉じ込めるような連中が推進しているのです」と、メーダー氏は述べました。


オンライン年齢確認システムに反対するメーダー氏の呼びかけは、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも話題となっています。

Online age verification is the hill to die on | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=47950091

あるユーザーは、オンライン年齢確認システムが義務化されれば大規模な身分証明書の詐欺がまん延するだけであり、その半数はプライバシーを守りたい大人によるものだろうと指摘しています


また、別のユーザーは成人向けソーシャルメディア・OnlyFansのアカウントが、旅行中に訪れた自宅住所とは違う州でログインしようと試みた際に本人確認を求められ、たった1回本人確認を断ったらその後自宅に戻っても再ログインを拒否されてサブスクリプションを停止せざるを得なくなったという体験談を投稿。オンライン年齢確認システムが義務化されれば同様の事態が増え、正直に自分が好きなものにお金を払うことすら難しくなってしまうかもしれないとの懸念を示しています。


小規模なサーバーを運営しているというユーザーは、「サーバー運営者が成人向けコンテンツなどを含むURLに成人向けラベル(RTAヘッダー)を追加し、クライアント側がRTAヘッダーを検出した場合、デバイス所有者によって有効になっているペアレンタルコントロールをトリガーする」という方式でしか規制に参加しないとコメント。子どもたちは他のあらゆる方法と同様に、この仕組みを回避しようと試みると思われますが、それでも追跡やデータ漏えいといった問題は一切発生しないと説明しました。

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in ネットサービス,   セキュリティ, Posted by log1h_ik

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