ライフハックや料理のレシピをクリックさせてデータを収集するアフィリエイトネットワークがFacebookに潜んでいるという主張
扇情的な文章と画像でユーザーの興味を引きクリックさせる詐欺的なコンテンツ「クリックベイト」「クリックベイト」を利用したアフィリエイトネットワークが広がりつつあると、海外ニュースサイトのPolitical Orphansが報じています。
Something Weird Is Happening on Facebook – Political Orphans
https://www.politicalorphans.com/author/goplifer/
Political Orphansが指摘するクリックベイトの投稿が以下のようなもの。「10代の若者が今本当に必要としている1つのものとは?」という文字が大きく書かれただけの画像で、とあるブログ記事へのリンクになっています。すでに3万5000人以上の人が共有しているこの画像こそがFacebookで勢力を拡大しているアフィリエイトネットワークの一端であると、Political Orphansは述べています。
このアフィリエイトネットワークでは、料理の簡単レシピやライフハックのヒントなどのちょっとした内容が大げさで意味ありげな文章で共有されます。そして、クリックした先のブログには広告が貼られており、アフィリエイト収入がブログ主に入るという仕組み。
しかし、このネットワークをきっかけに得られるアフィリエイト収入は微々たるもの。実際の記事の内容もペラペラで何も書いていないのに等しく、ブログ上で何かを販売しているわけでもありません。それでもPolitical Orphansによれば、このアフィリエイトネットワークはすでに数千億円規模にまで巨大化しているとのこと。
それではこのネットワークからどうやってお金が生み出されるのかという問いについて、Political Orphansは「ソーシャルメディア業界では、データは売り物になります」と答えています。
実際にFacebookを使って国を揺るがす大スキャンダルを起こしたコンサルティング企業のケンブリッジ・アナリティカは、ユーザーにクイズを解かせたりアンケートに答えさせたりすることで、膨大な個人情報を収集したことで問題となりました。
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以下は、アフィリエイトネットワークを使っているユーザーの1人が数週間おきに投稿した「全く同じ内容」の投稿を並べたもの。
先に投稿された方(右)は500人程度にしか共有されていませんが、数週間後に投稿された方はなんと約6万7000人に共有されています。これは1人のユーザーが複数のアカウントを持ち、毎日数十件も同様の投稿を生成し、アカウント同士の投稿を共有し合い、クリック数を稼いでいるためです。
ライフハックや料理のレシピのほかに「最初に買った車は?」「初めて働いたのは何歳?」など、パーソナルな情報を聞き出すような質問文などもあります。
個人の行動や考え方を尋ねるような質問文も。
このアフィリエイトネットワークから何百万ものユーザーの年齢や好み、住んでいる地域などといった情報が収集され、機械学習アルゴリズムによる感情分析が行えば、ケンブリッジ・アナリティカが収集していたようなデータセットが手に入るとPolitical Orphansは主張しています。Facebookはケンブリッジ・アナリティカの一件からAPIでこうしたデータ収集はできないようにしていますが、Political Orphansはプログラミングの専門知識があれば、Facebookから直接分析用のデータを取得することは可能だと述べています。
Political Orphansは「見知らぬ人からお菓子をもらったり、ボットに個人情報を与えたりしないようにしてください。もしその奥様のブログが広告や宣伝であふれていたら、すぐに離れてください」と注意を呼びかけています。
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