履歴書チェックソフトウェアが何百万人もの有能な求職者をはじいてしまっているという指摘
求職者の選別を行うため、多くの企業で履歴書の自動チェックソフトウェアが導入されています。しかし、ソフトによる選別があまりうまくいっておらず、有能な労働者が職を得られない状況になっていると、ハーバードビジネススクールが指摘しています。
HIDDEN WORKERS:UNTAPPED TALENT
(PDFファイル)https://www.hbs.edu/managing-the-future-of-work/Documents/research/hiddenworkers09032021.pdf
Automated hiring software is mistakenly rejecting millions of viable job candidates - The Verge
https://www.theverge.com/2021/9/6/22659225/automated-hiring-software-rejecting-viable-candidates-harvard-business-school
履歴書の自動チェックは「いい求職者」か「悪い求職者か」を選別するために用いられていますが、ハーバードビジネススクールのレポートによると、うまく選別できていないケースが多数見られるとのこと。
たとえば職歴に6カ月の空白があった場合、それが妊娠・出産によるものであろうと、家族の看病をしていたのであろうと、不況下で他に仕事が見つからなかっただけであろうと、一律で不採用にするようなシステムが存在しているそうです。
また、うまく仕事と求職者がマッチしなかった例として、「患者のデータを入力する仕事」に対して、履歴書に「コンピューター・プログラミングの経験あり」という人を採用した事例や、小売店の店員募集を行った際に、たとえ複数の希望条件が合致していても「床拭き」をスキルとして書かなかった人は採用しなかったという事例が挙げられています。
ここ10年で求人への応募者数が大きく増加したことで、履歴書チェックソフトウェアの導入事例は広がっており、アメリカでは企業の75%が導入済みで、中でも総収益上位企業ランキングである「Fortune 500」のランクイン企業は99%が導入しているとのこと。また、採用システム市場も拡大し、2017年実績は17億5000万ドル(約1900億円)規模、2025年には31億ドル(約3400億円)規模になると予測されています。
なお、ハーバードビジネススクールの調査では、経営者の10人に9人が、有能な求職者がはじかれてしまっている現状を把握しており、中には別の採用方法を模索している経営者もいるとのことです。
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