愛犬を守るための「完全防護マスク」を3Dプリンターで作る方法
道端に生えている野草のうち、穂が実るイネ科の植物には「ノギ」と呼ばれるトゲ状の突起を生やすものがあります。人間にとっては服にひっつく程度でほぼ無害ですが、散歩中の犬にとっては足や目、耳に刺さってしまうことがあり、大変危険です。海外ではFoxtail(キツネの尻尾)と呼ばれ恐れられるノギ対策として、エンジニアのアモス・ダドリーさんが自分の愛犬にぴったりの完全防護マスクを3Dプリンターで作った工程を公開しています。
Puppy PPE | Amos Dudley
https://amosdudley.com/weblog/Designing-PPE-for-Hilde
犬を飼わない人にはあまり知られていませんが、ノギは犬にとって非常に危険な植物であり、ノギが実る夏~秋になると犬の散歩にはかなり気を付けなければなりません。犬の目や耳にノギが刺さると除去するのは大変で、場合によってはノギが刺さった場所から感染症を引き起こし、重症化してしまう可能性すらあります。
以下の写真はダドリーさんが愛犬に、獣医師から処方されたノギ防止用のマスクを被せているところ。しかしこうしたマスクは犬の視覚・嗅覚・聴覚を妨げてしまうため、犬に大きなストレスをかけてしまうほか、ご飯やおやつを食べることができないという問題があります。また、アメリカならではのエピソードとして、飼い主がマスクを被った犬を抱きかかえていると「銃を所持している」と勘違いされるケースもあるとのこと。
そこでダドリーさんは、犬の顔に完全にフィットした薄いプラスチックでできたヘルメット型の防護マスクを考案。設計のため、まずは飼い犬の頭を3Dスキャンすることにしました。
実際にiPhoneで3Dスキャンが可能なアプリ「ScandyPro」でスキャンした、ダドリーさんの飼い犬の頭が以下。なお、ダドリーさんはHPの3Dスキャナーも所有しているそうですが、高性能なスキャナーだとスキャン速度が速すぎるため、全身が毛皮に覆われている犬だと逆にうまくスキャンできないとのこと。
このスキャン結果を基にデザインしたマスクのデータが以下。モチーフは警察犬が装着するマスクで、そこからまず大ざっぱな形を作り、表面をなめらかにし、スキャンデータと重ねて微調整を行うことで、基本デザインが完成。
最終的にディテールをアップして細かい調整を行ったマスクの最終デザインが以下。マスクの目や耳の部分には穴が空いていますが、マスクの目的は「犬の視覚や聴覚を妨げることなく、ノギから目や耳を保護する」ことなので、別パーツとして目の部分にはクリア素材のレンズパーツを、耳にはメッシュ素材の保護パーツを取り付ける必要があります。
レンズは薄いアクリルで、バキュームフォームで成形。
3Dプリンターで出力した樹脂製のマスクベース(画像左)と、レンズと耳の保護パーツを取り付けたマスクの試作品1号(画像右)。
実際に飼い犬にマスクを取り付けるとこんな感じ。ダドリーさんによればマスクの品質はよく、満足のいく出来だったそうですが、犬は物の形状にとても敏感であるため、他の犬がマスクを付けた犬を非常に怖がってしまったとのこと。そのため、他の犬がたくさんいるドッグパークでの使用は控えざるを得ないとダドリーさんは述べました。
さらにヘルメットにはGoProなどのアクションカメラを取り付けられるようになっているので、犬の目線でムービーを撮影することも可能。実際にダドリーさんの飼い犬の目線で撮影した映像は以下で見ることができます。
Hilde Helmet Cam - YouTube
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