約550億円でテレビ広告大手のMediaoceanがアドテク企業のFlashtalkingを買収、その目的とは?
テレビ広告を中心とした広告サービスを提供するMediaoceanがアドテク企業のFlashtalkingを5億ドル(約550億円)で買収することを発表しました。この買収でMediaoceanはさらにデジタル広告業界のサプライチェーンへ足を踏み入れることになります。
Mediaocean to acquire Flashtalking, adding complementary solutions to power $200 billion in annualized media spend | Mediaocean
https://www.mediaocean.com/flashtalking-acquisition
Mediaocean to Buy Adtech Company Flashtalking for $500 Million - WSJ
https://www.wsj.com/articles/mediaocean-to-buy-adtech-company-flashtalking-for-500-million-11626170400
Mediaoceanは広告費の請求や広告の計画・購入に関するサービスをマーケティング会社や広告会社に提供しており、2021年はすでに2000億ドル(約22兆円)分の広告取引を行っているとのこと。これら広告のうち700億ドル(約7兆7000億円)はテレビに関するもので、1000億ドル(約11兆円)はデジタル広告、残りはビルボードといった屋外広告などとなっています。
Mediaoceanは2015年9月に投資会社のVista Equity Partnersに買収されてから、合計11回の買収を繰り返しており、今回は買収額は過去最大にとなるとのこと。近年はオンラインにおける消費活動が増加しており、デジタル広告の需要が急増していることから、買収は主にアドテク部門に焦点を置いたものだとみられています。
Mediaoceanの強みはもともとテレビ広告にありました。「テレビ広告に必要なのは、サプライチェーンの全てであるMediaoceanとNielsenのアカウントだ」と言われるほどでしたが、近年は広告のあり方が大きく変化したことから、「デジタル広告のサプライチェーンにもっと関わった方がいい」と判断し、デジタル広告関連の買収を進めているわけです。MediaoceanのCEOであるBill Wise氏は「我々にとってFlashtalkingとの合意は、これからの基礎となるものです」と述べました。
一方のFlashtalkingはデジタル広告サーバーやデジタル広告を管理する技術、そして広告の品質を検証する技術を提供する企業。AdobeやP&Gをクライアントに持ち、近年規制対象にあるCookieを利用せずにターゲティング広告を実施する技術を持つとのことです。
買収によって、Flashtalkingの技術はスマートTVやオープンウェブ上での広告購入で利用可能になるとWise氏は述べています。Mediaoceanはターゲティング広告プラットフォームを運営する4C Insightsを2020年に買収しており、Flashtalkingの技術は4C Insightsの技術を補完することになるとみられています。
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