ペットのネコとイヌは驚くほど高い確率で飼い主から新型コロナをうつされているという研究結果
2020年4月にペットとして飼われているイヌが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染したとの事例が報告され、その後もわずかながら人から動物へと新型コロナウイルスが感染する事例が報告されています。第31回欧州臨床微生物感染症学会(ECCMID)で発表された査読されていない研究論文で、「ペットの飼い主が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症していた場合、ペットのネコ・イヌにSARS-CoV-2が感染する可能性が高い」ということが報告されました。
Cats may catch COVID-19 from sleeping on their owner's bed | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/esoc-cmc062921.php
Cats and dogs get COVID-19 from their owners at extremely high rates | Live Science
https://www.livescience.com/pet-cats-dogs-catch-covid-19-from-owners.html
カナダ・ゲルフ大学の獣医病理学教授であるドロシー・ビエンツル氏らは、過去に飼い主がCOVID-19を発症した77世帯で飼育されていた48匹のネコと54匹のイヌ、および動物保護施設で保護されている75匹のイヌとネコ、獣医クリニックで診察された75匹の野良ネコに対しPCR検査を実施しました。また、飼い主に対しては「ペットをなでたか」「ペットにキスをしたか」「ペットと一緒にベッドで寝たか」など、ペットと毎日をどのように過ごしたかを尋ねました。
検査の結果、飼いネコの67%にあたる32匹、飼いイヌの43%にあたる23匹がSARS-CoV-2陽性と判定されたとのこと。一方、動物保護施設のイヌとネコでは陽性反応が出た個体が3匹、野良ネコでは2匹となっており、飼い主がCOVID-19を発症したペットはかなり高い確率でSARS-CoV-2に感染していることになります。また、飼いネコのうち13匹に鼻水などの症状がみられ、うち3匹は重症。飼いイヌのうち11匹に食欲不振やせきなどの症状がみられたものの、いずれも軽症ですぐに改善したとのこと。
ビエンツル氏らは、飼い主と飼いイヌが一緒に過ごした時間は感染に影響を与えなかったように見えるが、飼い主と飼いネコの場合は過ごした時間が長いほど感染のリスクが高いようだと述べています。さらに、飼い主のベッドで寝た飼いネコの感染率が高かったことも報告しています。
ビエンツル氏らは「野良ネコや保護施設の動物よりもペットの感染率が高かったことは最も可能性の高い感染経路は人間からペットへの感染であり、その逆ではないことを意味する」と付け加えています。また、「ネコはイヌよりも飼い主の顔の近くで眠る可能性が高く、感染しやすい」「家族の誰かがCOVID-19を発症していると、ペットに感染する確率が驚くほど高くなる。感染している間はペットから離れて過ごすことをおすすめする」と述べています。
なお、アメリカ疾病予防管理センターは「ネコやイヌを含む少数のペットがSARS-CoV-2に感染したことが報告されている。状況によってはSARS-CoV-2が人からペットに感染する可能性があり、家族の誰かが病気になったらペットやその他の動物から隔離するように」と呼びかけています。また、厚生労働省は動物を飼育する人向けのQ&Aを公開しています。
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