Amazon傘下のRingが警察と「監視カメラを宣伝する代わりに製品を無料で提供する契約」を交わしていたことが判明
ロサンゼルス市警察(ロス市警)が、「Amazon傘下のRing製監視カメラを宣伝する代わりに、製品を無料で受け取る」という契約を交わしていたことが判明しました。
19-4563 Emails Binder B, Final - DocumentCloud
https://www.documentcloud.org/documents/20485679-19-4563-emails-binder-b-final/
Emails from 2016 Show Amazon Ring's Hold on the LAPD Through Camera Giveaways | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2021/06/emails-show-amazon-rings-hold-lapd-through-camera-giveaways
Ringは2018年にAmazonに買収された監視カメラ付きドアベルを開発する企業で、監視カメラで撮影した映像を警察に提供する取り組みを行っていますが、このRingと警察との関係がプライバシーの侵害に当たるとして非難の声も挙がっています。
Amazonの監視カメラ付きドアベル「Ring」はどのようにして普及していったのか? - GIGAZINE
そして、新たにカリフォルニア当局の要求に応じてロス市警が公開した2000ページ以上に及ぶ「2016年にロス市警とRing間で交わされた電子メール」から、Ringがロス市警に製品の宣伝を依頼し、見返りとして製品を無料提供していたことが判明しました。
Ringからロス市警に送られたメールの内容を確認すると、「あなたはRingのクーポンコードを10人に紹介したのでゴールドステータスに到達しました」「クーポンコードを25人に紹介すると、プラチナステータスに到達できます」という記述と共に、「Ring Video Doorbell」や「Stick Up Cam」といった製品を無料提供する旨が記されています。
また、別のメールには、ロス市警の職員が「私はRingのドアベルが大好きです。私は出会う全ての人々にRingの製品をオススメしています」と記しており、Ringがロス市警に対して製品の無料提供を見返りに、製品の宣伝を求めていたことが分かります。
このRingとロス市警の関係について電子フロンティア財団は、「人々は、住民に監視カメラの設置を促す警察に出会ったとき、警察が安全に対する懸念から活動しているのか、あるいは無料の機器を受け取るために活動しているのか分かりません」「公務員が私的な利益のために自分の立場を利用し、コミュニティの恐怖と疑惑をあおっていることに懸念を表明します」と述べています。加えて、電子フロンティア財団はRingとロス市警の関係を調査するように求める書簡をカリフォルニア州司法長官に提出したとのことです。
なお、Ringの広報担当者はテクノロジー関連メディア・The Vergeに対して、「Ringは、何年も前に法執行機関への寄付や警察への製品の宣伝をやめています」とコメントしています。
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