決済サービスのStripeがAIを使った本人確認ツール「Stripe Identity」を発表、決済以外の場面でも利用可能
現地時間の2021年6月14日、数百万もの企業を顧客に持つオンライン決済サービス大手のStripeが、企業がユーザーの本人確認を行うためのツール「Stripe Identity」を発表しました。Stripe Identityは、AIを用いてユーザーの顔写真付き身分証明書と自撮り写真を分析し、ユーザーの身元を確認することができるとのことです。
Stripe Identity: 信頼できる本人確認
https://stripe.com/jp/identity
Stripe ニュースルーム: Stripe launches Stripe Identity, an identity verification tool to increase trust online
https://stripe.com/newsroom/news/stripe-launches-identity
Stripe goes beyond payments with Stripe Identity to provide AI-based ID verification for transactions and much more | TechCrunch
https://techcrunch.com/2021/06/14/stripe-goes-beyond-payments-with-stripe-identity-to-provide-ai-based-id-verification-for-transactions-and-much-more/
近年ではオンラインで行われる経済活動の増加と共に、オンラインビジネスがユーザーの年齢や身元を確認して法律に準拠し、詐欺やアカウントの乗っ取りを防ぐ責任も増しています。すでに、VeriffやBerbixといった一部のスタートアップは「本人確認サービス版のStripe」として、開発者がプラットフォームに本人確認サービスを統合するツールを提供して成長を遂げています。
そんな中、Stripeも企業がユーザーの本人確認をオンラインで行うことができる「Stripe Identity」を発表し、本人確認サービスに参入することを明らかにしました。Stripe Identityのエンジニアリング責任者を務めたRob Daly氏は、「企業はStripeに対し、オンラインで本人確認を行うための簡単で迅速な方法を求めてきました」「今では、5人のスタートアップから多国籍企業までのあらゆるインターネットビジネスが、数週間や数カ月ではなくたった数分でユーザーの身元を安全に確認できるようになりました」とコメント。
Stripe Identityの本人確認は、ユーザーが送信した「政府発行の顔写真付き身分証明書」の写真を、コンピュータービジョンと機械学習アルゴリズムで読み取ることで機能します。また、身分証明書に加えて「その場で撮影した自撮り写真」を用いたチェックを加え、盗み出した身分証明書を使った不正を阻止するオプションもあるとのこと。
収集された全ての情報は暗号化されてStripeに送信されるため、Stripe Identityを導入する企業が自社サーバーで機密性の高い個人情報を管理するリスクを負うことはありません。これにより、企業は労力とリスクを増すことなく、ユーザーの本人確認をより迅速かつ簡単、安全に行うことが可能となります。
Stripe Identityを構築するアーキテクチャは、年間数千億ドル(数十兆円)もの決済を処理するStripeが、過去10年にわたって不正利用を防止するために開発してきた技術を基にしています。Stripeのグローバルリスク戦略およびオンボーディングポリシーの責任者であるDelia Pawelke氏は、「グローバルな本人確認を行う厳密で安全なシステムを構築するために必要な労力を、私たちは経験で理解しています。Stripe Identityにより、全てのユーザーが高度なコンプライアンスインフラストラクチャーを利用できるようになります」と述べています。
もちろん、Stripe Identityは決済サービスと組み合わせて利用することも可能ですが、Stripeを使っていないオンラインサービスでも、ユーザーの本人確認を行うためにStripe Identityを利用することが可能です。すでにチャットツールのDiscordや一時的なイベントスペースを貸し借りするサービスのPeerspace、配送業務の簡略化サービスを提供するShippoなどがStripe Identityを先行利用しており、信頼性の向上や不審なユーザーの身元確認、アカウントの乗っ取り防止などに役立てています。
なお、公式サイトによるとStripe Identityが確認できる政府発行の身分証明書には制限があり、記事作成時点ではアイルランド・アラブ首長国連邦・イギリス・イタリア・エストニア・オーストラリア・オーストリア・オランダ・カナダ・キプロス・コスタリカ・スイス・スウェーデン・スペイン・スロバキア・スロベニア・チェコ共和国・デンマーク・ドイツ・ニュージーランド・ノルウェー・フィンランド・フランス・ベルギー・ポルトガル・マルタ・ラトビア・リトアニア・リヒテンシュタイン・ルーマニア・ルクセンブルグ・香港・アメリカの33カ国の政府が発行した書類のみ、チェックが可能だそうです。
テクノロジー系メディアのTechCrunchがStripeに問い合わせたところ、Stripe Identityの利用料金はトランザクションごとに請求されると述べたそうですが、詳細な料金については回答を控えたとのこと。Stripeは、現地時間の6月16日から開催するオンラインイベントの「Stripe Sessions」で、Stripe Identityの詳細なロードマップを発表するとしています。
Stripe Sessions
https://sessions.stripe.com/
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