食べ物の写真は「カロリーが高いほど受けがいい」という傾向が明らかに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって外食しにくい状況が生まれたため、自作料理の写真を投稿する人々が増加しています。こうした食べ物の写真に関する「カロリーが高い料理のほうが人を引きつける」という新たな研究結果について、論文著者のイーサン・パンサー氏とマシュー・フィリップ氏が解説しています。
Content Hungry: How the Nutrition of Food Media Influences Social Media Engagement - Pancer - - Journal of Consumer Psychology - Wiley Online Library
https://myscp.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcpy.1246
#FoodPorn: People are more attracted to social media content showcasing fatty foods
https://theconversation.com/foodporn-people-are-more-attracted-to-social-media-content-showcasing-fatty-foods-160221
SNSの隆盛とともに「料理画像を投稿する」という文化が一般的になっており、Instagramの「#Food」には4.4億件の投稿が、「#Foodporn(フードポルノ:いわゆる映える料理写真)」には2.6億件の投稿が寄せられています。
パンサー氏らは料理写真を投稿するアカウントの中でも、1億人超というフォロワー数を誇るBuzzfeed's Tastyを対象に分析を実施。いいね!数やリプライ数、シェア数などのエンゲージメント数から「人を引きつける料理」の条件を割り出しました。
エンゲージメント数と、被写体となった料理自体の栄養価(推測値)を比較したところ、「カロリー密度(重量あたりのカロリー)」がエンゲージメント数に正の影響を与えていると判明。さらに栄養価の中でも、「飽和脂肪」が特に重要という傾向も示唆されました。続いてパンサー氏らは、料理レシピのコミュニティウェブサイトであるYummly.comの投稿を調査し、「レシピに含まれる飽和脂肪の量が多いほどブックマーク数が多い」という傾向があると確認しました。
カロリー密度がエンゲージメント数に正の影響を与える理由について、パンサー氏らは「人間の脳は価値があると認識する食べ物に強く惹かれるという傾向があり、脂肪分の多い高カロリー食品は幸せな食事体験につながると通常考えられるから」と解説。高カロリー食品が幸せな食事体験を生み出すという点においては、栄養学に関する研究から、高カロリー食品を食べると脳内に快の感情に関わるドーパミンが分泌されることが判明しており、このことから人間は料理写真を見ただけで気分が良くなるようになっているとのこと。
パンサー氏らは今回の調査結果が、防錆潤滑剤スプレーの「WD-40」でメキシコ料理の見栄えを良くするという食べ物を専門とする写真家のテクニックと一致していると語り、こうしたテクニックを活用することで野菜のような健康的な食品の注目度を高められるかもしれないと指摘。料理写真は「人が食べるもの」に影響を与えるため、どのような要因が料理写真に対する注目度を高めるのか、という今回の分析は意義深いものであると主張しました。
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