北朝鮮がスキニージーンズを禁止、「退廃的なライフスタイル」が政権崩壊につながるとの恐れから
朝鮮労働党による事実上の一党独裁政体制が敷かれている北朝鮮では、国民の日常生活にもさまざまな制限が課せられており、アメリカの映画や韓流ドラマを見た民間人が処罰される事例もたびたび報告されています。そんな中、新たにスキニージーンズの着用やマレットヘアーといった一部のファッションが、「資本主義的なライフスタイルによる侵略」を防ぐために禁止されたと報じられています。
N.K. paper warns against inflow of capitalistic culture into country | Yonhap News Agency
https://en.yna.co.kr/view/AEN20210513003400325
Kim Jong-un bans skinny jeans over fears 'decadent' fashion could topple regime - World News - Mirror Online
https://www.mirror.co.uk/news/world-news/kim-jong-un-bans-skinny-24129477
Kim Jong-un Doesn’t Like Skinny Jeans | GQ
https://www.gq.com/story/kim-jong-un-skinny-jeans
独裁国家である北朝鮮ですが、全ての国民がファッションによる自己表現をあきらめているわけではなく、若者の中には茶髪にしたりスキニージーンズを履いたりする人もいたとのこと。北朝鮮に関するニュースを伝えるNK Newsが2013年に報じた「北朝鮮のマストハブアイテム10選」でも、スキニージーンズが選出されているほどです。
現在の北朝鮮のマストハブアイテム10個をリスト化するとこうなる - GIGAZINE
ところが2021年5月、海外メディアが「北朝鮮は国民がスキニージーンズを履いたり、襟足を長く伸ばしたマレットヘアーにしたりすることを禁止した」と報じました。北朝鮮では2020年12月に反社会主義的な文化の流入を防ぐ「反動的思想・文化排撃法」が採択されるなど、韓国を含めた海外からの情報や文化の流入に対する監視を強化しているとのこと。
北朝鮮では以前からファッションへの規制がたびたび報告されており、2014年には男子大学生に対して「最高指導者の金正恩第1書記と同じ髪型にしろ」という髪型統一令が出されました。今回のスキニージーンズやマレットヘアー禁止令もその流れに位置していますが、最高刑が死刑である反動的思想・文化排撃法の採択に続いた今回の禁止令は、北朝鮮当局が資本主義的な思想の取り締まりを強化していることを示しています。
反動的思想・文化排撃法は海外製の映画やドラマの視聴だけでなく、服装や髪型、アクセサリーといったファッションにも適用されるとのことで、2021年4月には街中や工場の出入り口などで大規模な取り締まりが行われました。この取り締まりでは程度がひどい人物に罰則が加えられ、強制労働を科される場合もあったそうです。
朝鮮労働党の機関誌である労働新聞は5月13日に掲載した社説で、資本主義文化によって他国における社会主義が失敗したと主張。「歴史は、私たちが自分たちのライフスタイルを維持しなければ、経済力や防衛力に関係なく国家が脆弱(ぜいじゃく)になり、最終的には湿った壁のように崩壊する可能性があるという重要な教訓を示しています」と述べました。
また、若者に対しては資本主義の「エキゾチックで退廃的なライフスタイル」に流されることに警鐘を鳴らし、「私たちは資本主義的なライフスタイルのほんの小さな兆候にも警戒し、それらを取り除くために戦わなければなりません」と主張しました。
by (stephan)
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