ハードウェア

指の動きだけでキーを全て入力可能なキーボード「DataHand」とは?


1990年代、手首をまったく動かさず、指の動きだけでキーボードを入力できるデバイス「DataHand」が開発されました。開発元は2008年に廃業してしまいましたが、DataHandの理念は後世に脈々と受け継がれています。

DataHand
https://www.microsoft.com/buxtoncollection/detail.aspx?id=75

Adjustable, Low-Impact Keeb Is About As Comfortable As It Gets | Hackaday
https://hackaday.com/2021/04/02/adjustable-low-impact-keeb-is-about-as-comfortable-as-it-gets/

lalboard | Hackaday.io
https://hackaday.io/project/178232-lalboard

DataHand Systemsが開発したDataHandは、指の動きだけでキーを入力可能にしたキーボードです。DataHandは以下のようなもので、右手用と左手用に用意されたデバイスにそれぞれ手を置き、指先でキーを入力する仕組みになっています。手首の動きを一切要求しない、人間工学に基づいた作りになっています


人さし指~小指のキーの挙動はこんな感じ。東西南北・押下の5種類の入力が可能です。


親指はこんな感じ。北・西・東の3種類に加え、左手側は南東方向、右手側は南西方向と、軽く押下・強く押下の2種類、合計6種類の入力が可能。


左手の小指(左)から人差し指(右)にかけてのキー配列はこんな感じ。


右手の人差し指(左)から小指(右)にかけてのキー配列はこんな感じ。


右手親指のキーを軽く押下すると、「NAS(Numbers and Symbols・数字と記号)」モードが有効化、強く押下するとNASモードが無効化されます。NASモードを有効化するとキー配列が変わり、数字や記号も入力可能になるというわけです。NASモードを有効化した場合の左手のキー配列が以下。


NASモードを有効化した場合の右手のキー配列が以下。


他にも、テンキー入力が可能なモードとマウスカーソルを動かせる専用のモードも用意されています。これらのモードを使い分けることで、少ないボタンで通常のコンピューターに存在するキーを全てまかなえるとのこと。なお、キー配列はDataHandに印刷されています。


キーはバネではなく、磁石の力で基本位置に戻ります。指をはめる部位の位置調節やデバイスの傾き調節、手を置く位置のパッド交換も可能。コンピューターとはケーブルで接続するので、DataHandを膝の上に置いて使用することも可能です。実際に使用している様子の動画は以下から確認可能です。

Historic: The DataHand ergonomic keyboard - YouTube


DataHandは、当時約2000ドル(約20万円)の価格で販売されました。キーボードとしては高額ですが、IT企業にとっては、従業員が通常の業務で手を痛め、災害補償を請求するといった可能性を回避するため、導入を行った企業もあったとのこと。


その後2008年、サプライヤーの問題のためDataHand Systemsは廃業、DataHandの製造も中止されてしまいました。しかし、DataHandの魅力にとりつかれたユーザーたちの間で、ひそかにDataHandの改良・再開発が行われています。

そんなユーザーの一人、ベン・グルーバー氏が開発したDataHand型デバイス「lalboard」はこんな感じ。


実際に使用している動画は以下から確認できます。

lalboard demonstration - 120wpm - YouTube


グルーバー氏は記事作成時点でもlalboardの開発を継続しています。

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in ハードウェア, Posted by log1p_kr

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