テロ関連のコンテンツをプロバイダーに1時間以内に削除させる規則をEUが採択
欧州議会が、テロリストのコンテンツを取り締まる新しい規制を2021年4月28日に承認しました。各種サービスプロバイダーは、当局からのテロリスト関連コンテンツの削除要請を受けた場合、1時間以内に該当コンテンツを削除する必要があります。
New rules adopted for quick and smooth removal of terrorist content online | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20210422IPR02621/new-rules-adopted-for-quick-and-smooth-removal-of-terrorist-content-online
EU adopts controversial law forcing one-hour takedowns of terrorist content - The Verge
https://www.theverge.com/2021/4/29/22409306/eu-law-one-hour-terrorist-content-takedowns-passes-parliament
新しい規制は、テロ犯罪を扇動したりテロ活動に勧誘したりするようなテキスト・画像・録音・映像などのコンテンツを対象としています。また、テロ目的に使われる爆発物や銃器の作り方や使い方を説明する資料も対象となります。
サービスプロバイダーは、加盟国の管轄当局から削除要請を受け取ってから1時間以内に、該当するコンテンツへのアクセスを禁止、あるいはコンテンツそのものを削除する必要があります。要請に応えられない場合は、年次の透明性レポートを公開して説明する義務が発生するとのこと。
この規制は2018年に提出されましたが、欧州議会を通過するまで何度か大きな修正が行われました。特に議論されたポイントとして、「教育、芸術、報道、研究の目的でアップロードされたコンテンツについては、この規制の対象にはならない」ことが強調されています。
また、表現の自由についての議論も重ねられました。例えば、「1時間以内にコンテンツの削除要請に応じなければならない」という規則はかなり厳しいため、サービスプロバイダーは規則違反のリスクを減らすために、自動でコンテンツをフィルタリングするアルゴリズムを用意するなどの工夫が求められます。
しかし、一部の欧州議会議員や権利団体は、「新しい規則によってアルゴリズムが導入されることで、大手サービスプロバイダーが表現の自由を脅かすのではないか」という懸念を抱いています。
フランスの欧州議会議員であるグウェンドリン・デルボス=コーフィールド氏は「自動フィルタリングの使用は義務ではなく、各企業がアルゴリズムを導入することが求められます。このような技術は、アルゴリズムが人間よりも安価になるような状況では特に魅力的に見えるかもしれません」と述べています。
なお、サービスプロバイダーはこの規則は、EUの官報に掲載されてから12カ月後に効力を発揮し、その後加盟国で採用されて施行されることになります。
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