サイエンス

体内で重要な役割を果たしている「タンパク質」とは何なのかを専門家が解説


タンパク質が人間にとって重要な栄養素であることは知っていても、実際にタンパク質の構造や役割について知っている人は多くないかもしれません。そんな重要だけどわかりにくいタンパク質について、クラーク大学の生物学助教授を務めるネイサン・アールグレン氏が解説しています。

What is a protein? A biologist explains
https://theconversation.com/what-is-a-protein-a-biologist-explains-152870

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アールグレン氏は、「タンパク質は全ての生命に見られる基本的な構造であり、分子です」と述べ……


色とりどりのビーズがつながった1本のブレスレットを取り出しました。息子からの贈り物であるこのブレスレットは、タンパク質の構造を説明するのに適しているとのこと。


ブレスレットを構成するそれぞれのビーズはアミノ酸を表しており、タンパク質は基本的に複数のアミノ酸が鎖状に連結してできた高分子化合物だと説明できます。人のタンパク質は全部で20種類のアミノ酸から構成され、その組み合わせによってタンパク質の種類が変わります。


また、実際のタンパク質はブレスレットのように1本のヒモとして存在しているわけではなく、特定の形に折り畳まれて存在しています。タンパク質が生物学的に機能する構造へと折り畳まれる物理的なプロセスはフォールディングと呼ばれており、タンパク質の立体構造はそのタンパク質がどのような機能を持つのかに影響するとのこと。


タンパク質を構成する多様なアミノ酸は人間の食事に由来するものと、人間の体内で作られるものがあります。


人間以外の動物や植物もタンパク質を作っているため、人間がそれらを食べるとタンパク質が体内に取り込まれます。


そして、消化器系でタンパク質を構成していたそれぞれのアミノ酸へと分解され、体内で任意のタンパク質へと再構成されるとのこと。


人間のタンパク質を構成するアミノ酸のうち、体内で作り出せるのは約半数であり、残りの半数は食物の栄養素として摂取しなくてはならない必須アミノ酸です。そのため、肉などのタンパク質を豊富に含む食品を食べることは健康にとって非常に重要です。


体内のアミノ酸は細胞へと運ばれ、それぞれがビーズのように細胞内を浮遊します。


そしてDNAに含まれる遺伝情報に従って、細胞内に浮遊するアミノ酸をつなぎ合わせてタンパク質が作られるとのこと。


人間の体内に存在するタンパク質は2万~8万種類以上もあるといわれており、アミノ酸の配列や数によってタンパク質が持つ機能が異なります。


タンパク質は体内で果たす機能により、大きく2つのカテゴリーに分類されています。そのうちの1つが「構造タンパク質」であり、骨や皮膚といった人体を構成します。


たとえばコラーゲンは皮膚や腱、軟骨、骨などを構成するタンパク質であり……


インテグリンは細胞間を柔軟に結合するタンパク質です。


人体を構成する構造タンパク質とは別に、体内での生化学的な反応に携わる「機能タンパク質」と呼ばれるタンパク質があります。


食欲と代謝の調節に関わって肥満を抑制するレプチンや……


血糖値を下げる働きを持つインスリン


酸素分子と結合して肺から全身へと酸素を運搬する役割を担うヘモグロビン


タンパク質を切断してアミノ酸へと分解するトリプシン


体内時計を調節するCircadian Clock Proteins(概日体内時計タンパク質)など、機能タンパク質は体内のあらゆる反応に関係しています。


「タンパク質」と聞くと筋肉や筋トレに関わるものだと考えがちかもしれませんが、実際にはタンパク質は体内のさまざまな活動に関わっているとアールグレン氏は説明しました。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1h_ik

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