メモ

研究者が「1時間の値段」を配車サービスのLyftと協力して算出した結果とは?


「時は金なり」と言われますが、実際に人々は時間を短縮するためのさまざまなサービスにお金を費やし、時間と金銭のトレードオフを行っています。人々が考える時間の価値を測定するため、研究者が配車サービスを展開するLyftと協力して実験を行って算出した「1時間の値段」が報告されました。

The Value of Time in the United States: Estimates from Nationwide Natural Field Experiments
https://ideas.repec.org/p/feb/natura/00720.html

What Is Your Time Worth? : Planet Money : NPR
https://www.npr.org/sections/money/2020/12/08/943812834/what-is-your-time-worth


時間の価値は誰にとっても興味がある問題ですが、これは特に政府にとって非常に重要なトピックだとのこと。政府はさまざまな公共事業を行う前に「必要なコストと得られる利益」を比較検討し、本当に事業を行う価値があるのかどうかを判断します。

政府が行う事業の中でも特に大規模な道路や橋、鉄道などの建設における最大のメリットは「時間の短縮」であり、時間の価値を正確に見積もることは公共事業を行うべきかどうか知る上で重要です。そのため、納税者が納得できる税金の使い方を求められるアメリカ合衆国運輸省は、長年にわたって時間の価値を理解するためにさまざまな調査を行ってきました。

移動にかかる時間を金額に換算しようとする試みは、移動にかかる時間が収入に直結するトラックドライバーなどと、プライベートで移動する人々の差などもあり困難です。しかし、アメリカ合衆国運輸省は1997年、当時入手できた最良の調査結果を基にして個人の移動時間を評価する公式を考案しました。この公式では「一般世帯が1時間に生産する金額の半分=1時間の移動時間短縮がもたらす価値」だとされており、記事作成時点では「1時間当たり14ドル(約1500円)」が時間の価値とされているとのこと。

ところが、「5分節約するためにいくら支払うことができるか?」といった架空の前提を使用したアンケートの結果は、現実世界の判断をそのまま反映していない可能性があります。そこでアカデミックの研究者とLyftの共同研究チームは、実際に現実で使用されているLyftの配車サービスを用いた大規模な社会実験を行いました。


研究チームは新型コロナウイルスのパンデミックが起きる前に、ニューヨーク・ボストン・サンフランシスコ・ロサンゼルス・アトランタ・マイアミ・サンディエゴ・オースティン・シアトルといったアメリカの9都市で、Lyftの待ち時間や価格を微調整してさまざまなデータを収集しました。

この実験により、待ち時間や価格の変更がユーザーの乗車リクエストの判断に与えた影響や、人々が乗車を早めるためにいくら支払っても構わないと考えているのかといった、合計1400万件ものデータが得られました。これは現実世界における人々の「自分の時間の価値」を反映しており、架空の状況についての質問から得られたデータより正確だと考えられます。

数百万人ものユーザーを抱えるLyftのような現実のプラットフォームを操作するのは、経済学者にとってある種の夢ともいえるものです。また、Lyftも価格戦略を微調整して最大限の収益を上げたいと考えているため、今回の実験は双方にとって利益があるものだったとのこと。

by Elvert Barnes

実験で得られたデータを分析した結果、研究チームはアメリカ人にとって「1時間の価値は19ドル(約2000円)」だと算出しました。研究チームのRobert Metcalfe氏は、「私たちが推定する時間の価値は、アメリカ政府が見積もった人々の時間の価値よりはるかに高かったです」と述べています。

さらに、データからは1時間の価値が時間帯によって変動することも明らかになったそうで、通勤のピークに重なる時間はそれ以外の時間帯と比較して1時間の価値が50%も高くなったとのこと。この結果について研究チームは、通勤時間中の人々は時間に遅れるのを嫌がるため理にかなっていると指摘しています。また、悪天候の日は車を待つ時間をできるだけ短くしたい人が多いためか、雨や雪の日も1時間の価値が高くなったそうです。


なお、今回の研究は住人が十分な可処分所得を持っておりタクシーの利用にためらいがなく、5分の遅れが問題となり得る会議や食事の予約が多い大都市で行われた点は注意が必要です。これらの要素は人々が考える時間の価値を平均より高く見積もる結果につながりますが、研究チームはこれらの偏りを補正するためにサンプルを調整したとのことで、算出した「1時間の価値」には自信を持っているとのこと。

Metcalfe氏は、「今の政策立案者は人々の時間を過小評価していると思います。彼らは人々が考えるほど時間が重要だと考えていません。これは、政府がどのようにお金を使うべきかについて考える上で重要であり、待ち時間や移動時間を減らす公共事業の利点は正しく評価されないかもしれません」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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