レビュー

たった1枚の紙でナチス・ドイツの傑作暗号機エニグマを再現できる「Paper Enigma Machine」を使ってみた


第二次世界大戦中にドイツ軍が運用し、現代でも暗号機が2200万円でオークションに出品されたり、シミュレーターが作られたりと高い人気を誇る暗号機が「エニグマ」です。そんなエニグマの仕組みをコピー用紙1枚で体験できる「Paper Enigma Machine」を使って難攻不落の暗号エニグマの暗号化・復号化を実際に体験してみました。

Paper Enigma.xls - paperEnigma.pdf
https://www.apprendre-en-ligne.net/crypto/bibliotheque/PDF/paperEnigma.pdf

Paper Enigma Machineの見た目はこんな感じ。配布ページから印刷するだけで使う事ができます。


左上部分がPaper Enigma Machineで暗号化・復号化を行うエリアです。左端にはリフレクター、右端には暗号化・復号化する文字の入出力欄があります。


左下には使い方と例文が書かれています。


右側にはエニグマのローターを模したものが3本並んでいます。各ローターにはアルファベットが左側にはアルファベット順、右側にはランダムに書かれています。


最初に、Paper Enigma Machineを使うためにローターをハサミで切り離していきます。


以下のように「ローターI」「ローターII」「ローターIII」の3つのローターができればOK。Paper Enigma Machineを使う前に必要な作業はこれだけです。


まずは例文の「QMJIDO MZWZJFJR」の復号化を試してみます。この例文は初期設定「I-II-III:MCK」で暗号化されているとのこと。暗号が作られたときと同じ初期設定で復号化することにより、ただの文字列である例文が意味のある文章になるというわけ。


というわけで、ローターを初期設定「I-II-III:MCK」に合わせていきます。「I-II-III」はローターを置く順序を表しており、左から順に、「Rotor I」「Rotor II」「Rotor III」と並べればOK。


「MCK」はローターの開始位置を表しています。以下の画像のように、ローターの左側に書かれたアルファベットのそれぞれ「M」「C」「K」の部分がPaper Enigma Machineに引かれた横線の直下に来るようにローターを配置します。


3つのローターを初期設定「I-II-III:MCK」に合わせると以下の画像のようになります。この状態になれば暗号を解く準備は完了。


それでは例文「QMJIDO MZWZJFJR」の一文字目「Q」から解読していきます。Paper Enigma Machineでは一文字ごとに、解読前に一番右端のローターを1段上に動かす必要があります。今回の場合は「K」から1段ずらして「L」になればOK。本家エニグマでは1文字解読する度に、ローターが1文字分回転するのですが、紙を手で動かすことで本家エニグマの動作を再現しているというわけ。


次に、ローター右側にある入出力欄から「Q」を探し、その左隣の「ローターIII」の右側の列に書かれた文字と同じ文字を左側の列から探し、さらにその左隣の「ローターII」に書かれた文字と同じ文字を左側の列から探して……という作業を左端のリフレクターにたどり着くまで繰り返します。今回は「J」にたどり着きました。


今度は、リフレクターの中にあるもう1つの「J」を探し、そこから先ほどとは逆に文字をたどっていくと、入出力欄の「E」にたどり着きました。つまり、「Q」を解読すると「E」になったというわけ。


解読結果を忘れないように、メモに書き残しておきます。


基本的には、解読前に右端のローターを1段上にずらして同じことを繰り返せば解読できるのですが、いくつか注意点があります。右端のローターを1段ずつ上にずらす際に、ローターに描かれた「↑」マークが暗号化・復号化エリアに入ってきたら……


左隣のローターも1段上にずらす必要があります。本家エニグマのローターが1周する度に左隣のローターも1文字動く動作を再現しているというわけ。


さらに、長い文章を解読していると真ん中のローターの「↑」マークが暗号化・復号化エリアに入ってくるので……


同様に左隣のローターを1段上に動かせばOKです。


また、本家エニグマのローターは円形なのでクルクルと回り続け、何文字でも解読できますが、Paper Enigma Machineのローターには下端が存在します。長い文章を解読していて、ローターの下端まですべて読み込んでしまった場合は……


ローターの上端をシートの上端に再セットして、解読作業を続けます。


以上の注意点に気をつけながら例文「QMJIDO MZWZJFJR」を解読すると、「ENIGMA REVEALED(謎は解かれた)」という英文を読み取ることができました。


次は暗号化を試してみます。初期設定「III-I-II:GIG」で「GIGAZINE」を暗号化することに。復号化と同様に初期設定に合わせてローターを配置したら準備完了。


暗号化する手順は復号化の際と同様。入出力欄から文字をたどって、出力欄の文字をメモしていきます。


初期設定「III-I-II:GIG」で「GIGAZINE」を暗号化すると、「VBXGMUPW」という文字列を得ることができました。これを同じ初期設定で復号化すれば、「GIGAZINE」という文字列を得られるというわけ。


初期設定が異なると、暗号化・復号化の結果が変わります。Paper Enigma Machineではローターの配置が6通りと……


各ローターのスタート位置が26×26×26=1万7576通りから選べるので、6×1万7576=14万608通りの初期設定を作ることができます。そのため、もし暗号文がPaper Enigma Machineによって作られたものだとバレてしまっても、初期設定さえバレなければ暗号文を解読される可能性はほとんどありません。


紙1枚で基本的なシステムを再現しただけのPaper Enigma Machineでも暗号の解読はかなり難しいものがありますが、ドイツ軍はエニグマの各ローターのアルファベットの配列を入れ替えながら運用していたそうで、その暗号文を解読するのは非常に困難であったことが伺えます。

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in レビュー, Posted by log1o_hf

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