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初めてニューラルネットワークによる量子化学計算を実現したシステムがオープンソース化


囲碁人工知能(AI)の「AlphaGo」などを開発するDeepMindが、量子化学計算をニューラルネットワークで行うシステム「FermiNet」を2020年9月に発表しました。また、研究チームはさらなる発展を目指し、FermiNetのオープンソース化を公表しています。

FermiNet: Quantum Physics and Chemistry from First Principles | DeepMind
https://deepmind.com/blog/article/FermiNet


Phys. Rev. Research 2, 033429 (2020) - Ab initio solution of the many-electron Schr\"odinger equation with deep neural networks
https://journals.aps.org/prresearch/abstract/10.1103/PhysRevResearch.2.033429

FermiNetは原子や分子のエネルギーを第一原理から計算するディープラーニングを初めて実証したもので、高い精度を持ったニューラルネットワークであると研究チームは述べています。FermiNetは科学上の基本的な問題を解くだけでなく、将来的には新しい材料や化学合成のプロトタイプをコンピューター上で作るために役立てられる可能性があり、さまざまな分野での応用が期待されるシステムです。

そんなFermiNetをさまざまな科学分野で応用できるようにと、研究チームはFermiNetをオープンソース化することを決定しました。FermiNetのソースコードはGitHubで公開されており、以下のURLからダウンロードすることができます。

GitHub - deepmind/ferminet: An implementation of the Fermionic Neural Network for ab-initio electronic structure calculations
https://github.com/deepmind/ferminet

FermiNetのオープンソース化について研究チームは、「FermiNetはディープラーニングと量子化学計算との融合に向けた、素晴らしいことの始まりだと思っています。FermiNetがより優れた新しいネットワークアーキテクチャのための、多くのアイデアに刺激を与えることを我々は望んでいます」とコメント。すでにいくつかのグループがFermiNetを実際の研究に利用しており、多体問題の第一原理計算などへのアプローチとして共有されていると研究チームは報告しています。


「我々は量子化学計算の表面をかじっただけにすぎません。FermiNetが材料科学や物性物理学の難しい問題にも応用されることを楽しみにしています。私たちの実験で使われたソースコードを公開することで、他の研究者たちが私たちの研究を基にし、私たちが夢にも思わなかった新しいアプリケーションへ応用されることを願っています」と研究チームはコメントしています。

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in ソフトウェア,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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