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アフリカのスラム街で超低予算のアクション映画を撮り続ける「ウガンダのスピルバーグ」とは?


カリフォルニア州ロサンゼルス市のハリウッド地区はアメリカ映画の象徴、あるいは娯楽映画の聖地として知られています。これにあやかって、特に世界最大級の規模を誇るインド映画業界は「ボリウッド」と呼ばれることがあります。そして、アフリカ・ウガンダ共和国のスラム街で「ワカリウッド」を興し、「ウガンダのスピルバーグ」あるいは「ウガンダのタランティーノ」と呼ばれる人物が存在します。

Meet the Steven Spielberg of Wakaliwood - YouTube


ウガンダの首都カンパラにあるスラム街のワカリガ


その片隅に立っている看板には「ラモン・フィルム・プロダクション ワカリウッドにようこそ」と書かれています。


撮影現場では、ラモン・フィルム・プロダクションの青いポロシャツを着た男性が、キヤノン EOS 80Dを構えながら「アクション!」と叫びます。


その声に合わせて、ライフルを構えた軍人役の俳優が、家のドアを蹴破って飛び出るド派手なアクションシーンを演じます。


玄関前の茂みでの銃撃シーンを撮影するため、周りのスタッフに指示を飛ばす監督。


監督の名前は、アイザック・ナブワナ・ゴドフリー・ジオフリー氏。ラモン・フィルム・プロダクションならびにワカリウッドの創設者です。


2005年から2020年まで制作されたワカリウッド映画は、なんと40本以上。年に2~3本のペースで制作していることになります。


また、ワカリウッド映画は、すべて200ドル(約2万1000円)程度の予算で制作されているのが特徴。低予算映画として話題になった日本の「カメラを止めるな!」でもおよそ250万~300万円の予算がかかっていることを考えると、物価の違いを加味してもワカリウッドはかなりの低予算で映画を作り続けていることがわかります。


映画の内容はアクションがメイン。過激な銃撃アクションから……


手に汗握るカーチェイスアクション


パリのエッフェル塔が爆発してしまうほどスケールの大きなストーリーもあります。


「ワカリウッド」という言葉は、ワカリガとハリウッドを組み合わせて作った言葉です。子どもの頃にハリウッドのアクション映画とカンフー映画を見て育ったアイザック氏は、2005年にPCでの映像編集講座を受け、映画制作のチュートリアルムービーを見た後、ラモンフィルムプロダクションズを設立しました。


アイザック氏は監督業の他に、脚本・編集・撮影も担当します。


つまり、映画制作作業のほぼすべてをアイザック氏1人が担当します。


ただし、世界中からワカリウッドに興味を持った人材が集まることも。俳優のアラン・ホフマニス氏もその1人です。ウガンダでは「アラン・サリ・オウェ・ンキマ・ムサジャ・ワカバカ・ネ・マフェネ・エス・ムガンダ・ラップトップ・ホフマニス」を名乗っているとのこと。


ホフマニス氏は俳優として、熱心な演技指導を行っています。


ワカリウッド映画に出演する役者はほとんどが素人。看護師や弁護士など、別の職業とかけもちで出演している人も多いそうですが、アイザック氏は「映画に出ればみんな家族のようなものです」と述べています。


そして、映画に登場する小道具は、スラム街にあるものからDIYで制作されます。


落ちている金属パイプをカッターでカットして溶接し、劇中で使うショットガンを作るところ。


特に骨組み部分と簡単な外装だけで作られたヘリコプターもスタッフが自作した小道具の1つで、すべてのワカリウッド映画に登場していることから、ワカリウッドの象徴とみなされることも。


実際にワカリウッド映画の初期作品である「Who Killed Captain Alex?(誰がキャプテン・アレックスを殺したのか?)」に登場したところが以下。なお、「Who Killed Captain Alex?」は2010年にYouTubeで公開された作品で、ワカリウッドが世界中から注目されるきっかけを作りました。


「Who Killed Captain Alex?」のトレーラーはこんな感じ。記事作成時点までで350万回以上も再生されています。

WHO KILLED CAPTAIN ALEX Original Trailer - Wakaliwood, Uganda - Ramon Film Productions - YouTube


「Who Killed Captain Alex?」のヒットがきっかけで、アイザック氏は本格的な映画プロダクションを設立することができたとのこと。アイザック氏は「私は映画の専門学校には通っていません。映画祭に出たり、賞を獲ったこともありません。私が映画を作る主な目標は、人々が楽しむことです。私の作品を見て人が笑います。それはコメディなのでしょう。コメディなき人生は人生ではありません」と語りました。

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in 動画,   映画, Posted by log1i_yk

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