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樹上に王国を築くファンシーな「ツムギアリ」が毒殺・八つ裂きなど虐殺の限りを尽くす「領土拡大戦争」とは?


アリは人家の近くでよく見かける身近な昆虫の1種です。そんなアリの中でも葉を折り曲げて巣を作るという「ツムギアリ」の生態と戦争について、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがアニメーションムービーで解説しています。

The Warrior Kingdoms of the Weaver Ant - YouTube


ツムギアリは長い肢と細長い胴部、そして大きな目を持つ、かわいい見た目のアリです。


しかし、ツムギアリは強力な下顎と毒を分泌する能力を持つ戦闘力の高いアリでもあります。


ツムギアリの働きアリは大きさに階級があり、大型・中型・小型という3種類に分かれます。


生息地域や種に応じて体色もさまざまで、ダークブラウンのツムギアリもいればエメラルドグリーンのツムギアリもいます。


ツムギアリの特徴は、そのファンシーな見た目だけではありません。ツムギアリはアリの中でも樹上に巨大王国を築き上げる種として知られています。


ツムギアリは、数センチメートルの低木から10メートル以上の高木までさまざまな木の上に巣を作ります。ツムギアリは1つの巣だけでは満足せず、枝やつるを渡って移動できる全ての木に巣を作ります。


今までに確認された中で最大のツムギアリの王国は、1600平方メートル分の木々に巣が張り巡らされていました。1600平方メートルというのは、バスケットコート4つ分に相当します。


ツムギアリの巣は、自身が作り出す半透明の糸によって葉っぱ同士をつなぎ合わせたもの。


巣の建築を行うのは、ツムギアリの働きアリの中でも大型に分類される個体です。大型の働きアリはその他にも、エサの収集や防衛を担当します。


新しい巣を作る際には、大型の働きアリが葉っぱを折り曲げて丸めて、複数の葉で巣を作り上げます。1匹の働きアリで折り曲げられないような弾力のある葉の場合は、複数の働きアリが協力して葉を折り曲げます。


葉の折り曲げ作業が行われている間に、働きアリは葉が密接した部分に幼虫を運び、頭を軽くたたいてネバネバの糸を吐かせて葉同士をくっつけます。一般的にアリの幼虫は自分の身を守る繭を作るために糸を吐きますが、ツムギアリの幼虫は巣作りのためだけ糸を吐きます。


300枚ほどの葉を重ね合わせて、中の一部をくりぬいて部屋を作ったら巣が完成。小型の働きアリが幼虫を使って部屋の中に糸の床や糸の壁を設置し、さらに住みやすいように改造します。


ツムギアリは巣からの移動距離を短縮するため、テリトリーの境界線上に兵舎や狩ってきたエサの貯蔵庫として巣を作ります。唯一の例外は、女王アリがいる王宮です。


ツムギアリの女王は1日に数百個の卵を産み、産まれてきた卵は王宮から適切な巣に運ばれます。1つのコロニーに属するツムギアリの数は、50万匹以上に容易に達します。


巣を作るために葉を利用するツムギアリですが、木にとっては有益な動物です。木はツムギアリに対して住処と樹液を提供する一方で、ツムギアリは糖分を多く含んだ液体を出してアリと共生するアブラムシ以外の害虫を取り除いてくれます。ツムギアリが取り除いてくれる害虫の量を考えれば、ツムギアリやアブラムシが与える害は木にとって許容できるレベルです。


ツムギアリにとっての天敵は、「他のツムギアリ」です。ツムギアリは中世の人類と同じように肥沃な領土を巡って、互いに戦いを繰り広げています。


肥沃な領土を失い続けてしまえば、他のツムギアリに攻め滅ぼされたり飢餓による大量死が始まったりします。そのため、領土の拡張と領土の維持がツムギアリの生存の必須条件です。


ツムギアリ同士の戦争は、数千匹もの大型の働きアリが相手のテリトリーに侵入して始まります。侵略側のツムギアリを発見した防衛側のツムギアリは、フェロモンを発して仲間に知らせます。


このフェロモンを感知したツムギアリは、防衛のために前線に急行するか、敵が攻めてくる方向を教えるために最も近い巣に急行します。敵が攻めてくる方向を教えるのにも、フェロモンが使われます。


相手とかち合った大型の働きアリは、体の位置を高くして下顎を大きく開き、相手に噛みつこうと試みます。


ツムギアリは仲間が噛みついている個体に次々襲いかかって、触角や四肢をバラバラにして腹部を切り裂いて殺そうとします。


防衛側のツムギアリは尾端からギ酸を含む毒を戦場一帯に噴出して、相手を攻撃しますが……


毒を噴出する能力を持つのは、侵略側のツムギアリも同じ。戦場は組み合う働きアリの頭上を毒が飛び交うカオスな状況となります。


しかし、開戦から数分後には近隣の巣からやってきた防衛側の援軍が前線に到着。一転して防衛側が優勢となり、侵略側を押し返します。


そうして前線の下の大地には、大量の犠牲者と、もはや助からないほどに傷ついた重症者が積み上がることとなります。


ツムギアリは際限なく版図を求め続けるため、戦争は何も特別なことではなく、単なる日常の一環です。


今回のムービーは、Kurzgesagtが公開したアリの戦争に関する解説ムービーの第3弾です。第1弾は以下で記事化しており……

数百万匹という数の暴力で相手を押しつぶすグンタイアリの「戦争」とは? - GIGAZINE

by Camila Plata

第2弾は以下で記事化しています。

地球規模で繰り広げられている「アリの大戦争」とは? - GIGAZINE

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in 生き物,   動画, Posted by darkhorse_log

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