900枚近い児童ポルノ画像を集めたのは「戦場で負った心の傷」が原因として元軍人が実刑を免れる
児童ポルノ画像881枚を自分のデバイスに保存するなどの容疑で逮捕された60歳男性が、裁判の中で自分の罪を認めました。元軍人である男性は、「長年にわたって戦場で受けた心的外傷後ストレス障害(PTSD)が児童ポルノ収集の動機である」と証言。これを認めた地方裁判所は懲役刑を科さず、18カ月の社会奉仕を命じました。
Military officer spared jail because his pedophilia was triggered by PTSD: judge | CBC News
https://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/military-officer-child-sexual-abuse-1.5666760
男性は33年間にわたって軍の医療助手として働いており、任命将官ではない者としてはほぼ最高軍位である上級准士官として退任しました。男性は大量の児童ポルノ画像を収集したほかに、5歳の息子を抱えるガールフレンドに「息子の裸の写真を送ってくれ」と頼んだ罪にも問われていました。ガールフレンドは「励ましと熱心なサポート」として性的に露骨なメッセージを、息子の写真と共に男性へ送っていたとのこと。
事件は、ガールフレンドの元夫がメールと画像に気づいたことから発覚し、2017年12月に男性は逮捕されました。
検察は7~10カ月の懲役刑と12~18カ月の保護観察を要求しましたが、男性の弁護士は「男性は戦場での残虐行為を何度も目撃しており、激しいPTSDに苦しんでいた」と主張。また、男性の介護者も「男性がうつ病に苦しんでいた」と証言しました。
コルウッド市地方裁判所のメイランド・マッキンム判事は、「PTSDに苦しむ人々が、PTSDの恐ろしい症状と戦うために、しばしば危険とリスクを求める行動に走ることはよく知られた症状です。被告人が自分の症状に対処するために、この危険で嘆かわしい性的な行動を求めていたことは十分考えられます」と語り、男性の児童ポルノへの執着はPTSDがきっかけとなったと認めました。
また、マッキンム判事は、男性自身が、少年を含めた子どもに実際に触れた証拠がないことに注目し、さらに男性が誠実に反省していることや、健康上の問題から服役が難しいことを指摘。判決で、男性には懲役刑ではなく、18カ月間の社会奉仕と2年間の保護観察が科されました。なお、男性の個人情報は性犯罪者情報登録簿に20年間記載されます。
マッキンム判事は「今回の判決は本当に例外的な状況によるもの」と言及した上で、「PTSDが一時的に男性を、暗くて不吉な性的嗜好(しこう)に向かわせたのです。要するに男性は、児童ポルノと小児性愛という暗く忌まわしい世界に、比較的短期間身を投じてしまったということです」と述べました。
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