ソフトウェア

無料オフィススイート「LibreOffice」に「個人向け」タグが入り「有料化するのでは」と波紋


オープンソースソフトウェアの開発を行うThe Document Foundation(TDF)は2020年7月6日にオフィススイートである「LibreOffice 7.0」のリリース候補版(RC1)を公開しましたが、このLibreOffice 7.0 RC1に「Personal Edition」(個人向け)とタグ付けされていたことで、LibreOfficeが有料化されるのではないかと波紋を呼んでいます。

LibreOffice: the next five years [LWN.net]
https://lwn.net/SubscriberLink/825598/21fb7c2a3f9358e7/


企業によるソフトウェアプロジェクトの場合、Personal Edition(個人向け)のソフトウェアが企業向けソフトウェアの機能を一部制限されたり、公開が遅れたりといったことがよく起こります。一方でLibreOfficeは企業ではなくコミュニティにより運営され、開発は数社によって進められてきました。これまでのところLibreOfficeは確固たるフリーソフトウェアの原則に基づいてきており、新たに「個人向け」以外の有料バージョンが作られ、使用が制限されることが懸念されたわけです。

これに対し、The Document Foundationは7月6日付で声明を発表。LibreOfficeのライセンスや可用性に変更が加わる予定はないと説明しました。

Board statement on the LibreOffice 7.0 RC "Personal Edition" label - The Document Foundation Blog
https://blog.documentfoundation.org/blog/2020/07/06/board-statement-on-the-libreoffice-7-0rc-personal-edition-label/


一方でThe Document Foundationは「『Personal Edition』タグはマーケティング5年計画の一部であり、現在のコミュニティにより支援された無料のLibreOfficeと、私たちのエコシステムのメンバーによって提供されるサービスとプロダクトがセットになった『LibreOffice Enterprise』を差別化するものです」とも述べています。ここから、無料版とは別のバージョンが新たに作成され、一部が有償化される計画があることも伺えます。

ただし、「今後、LibreOfficeが企業や大学などの教育機関で使用できなくなるのでは」という懸念については否定されており、LibreOfficeは常に無料のソフトウェアであり、ライセンス・可用性・使用許可・機能に影響するような変更や、エンドユーザー・開発者・コミュニティメンバーに影響するような変更は何もないとのこと。The Document Foundationは声明の中で誤解を発生させたとして謝罪を行いました。

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in ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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