メモ

ピラミッドを建築した労働者の数をピラミッドの位置エネルギーから求めるとこうなる


エジプトにあるギザ三大ピラミッドは4500年以上前、紀元前2500年頃に完成しました。ピラミッドの建設方法には謎に包まれた部分が多いものの、建築にあたりおよそ何人の労働者が1日に働いていたのかを、マニトバ大学の環境学名誉教授であるヴァツラフ・スミル氏が推測しています。

How Many People Did it Take to Build the Great Pyramid? - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/tech-history/heroic-failures/how-many-people-did-it-take-to-build-the-great-pyramid

三大ピラミッドのうち、クフ王のものとされるピラミッドは最も高く、2020年の時点で高さ約138.8メートル、完成した当時の高さは約146.6メートルであったと推測されています。ピラミッドは文献から材料の石を800km以上も離れた地域から運んでいたなど、作業の一部は徐々に明らかになっているものの、建設方法については謎に包まれた部分が多く存在します。


スミル氏はピラミッドの建設方法そのものではなく、ピラミッドの建設期間、ピラミッドが持つ位置エネルギー、成人男性1人あたりが労働に使ったエネルギーから、ピラミッド建設にあたって何人の人員が動員されたかを推測しました。

まず、ピラミッド建設を指示したクフ王の統治期間は紀元前2589年~紀元前2566年の約23年であったことから、建設期間を20年と仮定。ピラミッドが持つ位置エネルギーは、ピラミッドを構成する石灰岩やモルタルなどの質量とピラミッドの高さから約24億キロジュールであるとスミル氏は推測しています。

約70kgの成人男性は1日の基礎代謝を維持するために約7500キロジュールを必要とします。スミル氏は余剰エネルギーが基礎代謝維持の約30%にあたる2250キロジュールあるとして、そのうち約20%の約450キロジュールが労働に充てられたと仮定しました。ピラミッドの位置エネルギーである約24億キロジュールを450キロジュールで割ると、ピラミッドに石を積む作業は約530万人日を要したことになります。1年のうち労働者が働いた日数を300日とすれば、1日あたり約900人が20年にわたって石を積みあげる作業に従事していたとスミル氏は推測しました。


また、ピラミッドに使用された石材を石切場から運ぶのにも1日あたり約900人の労働者が必要であったとスミル氏は推測。そして、ピラミッドに使用された約260万立方メートルの石を20年以内に全て採石するには、約1500人の採石職人が1年あたり300日働き、1人0.25立方メートルの石を生産する必要があります。

つまり、石を切り出し、運び、ピラミッドに積むまでの労働者の総数は、1日あたり約3300人と推測されます。建設作業員に加えて、設計者、監督者、道具の修理、労働者用の住宅建設や維持、調理、洗濯などを行っていた労働者がさらに3300人いたと仮定しても、1日あたりの労働者は7000人未満であったとスミル氏は予測しています。

1990年代には、三大ピラミッドの建設に従事した労働者の住居や墓地が発見されており、ピラミッド建設時に住んでいた労働者は約2万人だったことが示唆されています。ピラミッド建設時のエジプトの総人口は150万人から160万人であったことから、ピラミッド建設の労働力は国の経済に大きな負担をかけるものではなかっただろうとスミル氏は述べています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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