ターゲティング広告のためのサードパーティー製データの利用をニューヨーク・タイムズがやめる予定
by samchills
アメリカの日刊紙ニューヨーク・タイムズが2021年までに、ターゲティング広告のためにサードパーティーのデータを利用することを停止する計画であると、海外ニュースメディアのAxiosが独自に入手した情報から明らかにしました。ニューヨーク・タイムズは自社製データプラットフォームを構築中であるとのことです。
Exclusive: New York Times phasing out all 3rd-party advertising data - Axios
https://www.axios.com/new-york-times-advertising-792b3cd6-4bdb-47c3-9817-36601211a79d.html
ユーザーのウェブ上の行動を追跡し、その情報をもとに広告のターゲットを狙い撃ちにするターゲティング広告は、その成功率の高さから広告業界で広く利用されていますが、一方でプライバシーの観点から非難が高まっています。このため、Appleはターゲティング広告を取り締まるためのセキュリティ機能「Intelligent Tracking Prevention」を導入しており、Googleも2年以内にサードパーティーCookieのサポートを廃止する方針だと、2020年1月に発表しました。
Chromeは2年以内にサードパーティーCookieのサポートを廃止する方針 - GIGAZINE
サードパーティーのデータを利用した広告がエコシステムから排除されると、これまでデータを利用していたパブリッシャーは自社のファーストパーティーデータや、ユーザーから直接収集したデータに依存することを余儀なくされます。
ニューヨーク・タイムズのアドイノベーション担当副社長であるアリソン・マーフィー氏によると、ニューヨーク・タイムズは2020年7月からクライアントに独自に設定した45個のオーディエンスセグメントを提供し、ターゲティング広告を行っていくとのこと。これらのセグメントは年齢(年齢幅・世代)、収入(HHI・投資可能資産など)、ビジネス(役職・職種・退職済みかどうか)、その他属性(性別・学歴・婚姻状況など)、関心(ファッションなど)といったカテゴリに分けられ、2020年後半には関心は少なくとも30のセグメントに分けられる予定となっています。
ニューヨーク・タイムズはプライバシーへの配慮を実現するため取り組みを行っており、新しいシステムを実現するために、新たな雇用も行ったとのこと。
今後行われていくであろうターゲティング広告の取り締まりは、多くのパブリッシャーが直面するところですが、ニューヨーク・タイムズの取り組みは、メディアとして規模が大きく信頼性が高いからこそ実現できたとのこと。多くのメディアはゼロからファーストパーティのデータセットを構築するための規模を持たないという点が指摘されています。
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