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「ベーシックインカムは人を幸福にする」と2年間に及ぶ実験で判明


フィンランドで2017年から2018年にかけて行われたベーシックインカムの導入実験で、「ベーシックインカム受給者の精神的安寧、自信、人生の満足度が向上した」という結果がヘルシンキ大学の研究チームによって報告されています。

Suomen perustulokokeilun arviointi
https://julkaisut.valtioneuvosto.fi/handle/10024/162219


Finnish basic income pilot improved wellbeing, study finds | Society | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2020/may/07/finnish-basic-income-pilot-improved-wellbeing-study-finds-coronavirus

この実験は、フィンランドに住む25歳~58歳の失業者2000人を対象に政府から月560ユーロ(当時のレートで約6万9000円)がベーシックインカムとして支給されるというもので、2017年1月1日から実施されました。

就職してもカットされないベーシックインカムのテストが失業者を対象にフィンランドでスタート - GIGAZINE


しかし、およそ1年以上にわたって実験を続けた結果、「就職やキャリアアップのための訓練を促すなど、ベーシックインカム導入による本当の効果を見極めることができない」とフィンランド社会保険庁事務所(KELA)の研究者が判断。さらに、フィンランド政府がベーシックインカムとは異なる新たなシステムの導入に着手していたこともあり、ベーシックインカムの実験は2018年12月をもって中止されました。

フィンランドの「ベーシックインカム実験」が2018年12月で中断 - GIGAZINE


およそ2年間にわたって実施されたベーシックインカムの実験を終え、受給者に詳細なインタビューを行ったヘルシンキ大学の研究チームは、「経験にかなり差はあったものの、ベーシックインカムの受給者はおおむね自身の生活に満足しており、対照群よりも精神的なストレスやうつ、悲しみ、孤独を経験しなかった」と結論づけています。

また、受給者はインタビューに対して「失業前の生活に戻れるようになった」「低賃金で不安定な仕事を拒むことができるようになった」などと回答したとのこと。研究チームは、「ベーシックインカムの受給者は自立心や経済的安全保障、将来への信頼感など、幸福度の尺度でより良いスコアをつける傾向があった」と報告しています。

さらに、ベーシックインカムによって失業問題が解決される見込みはなかったものの、受給者の中には「仕事」と称して家族や近隣の人のサポートを行ったり、無償で社会活動に参加したりする者もいたことがわかりました。


研究チームを率いたヘレナ・ブロムバーグ・クロル教授は「ベーシックインカムによって収入が保証されたことにより、一部の受給者は自分の夢を試して生きる希望を得ました」とコメント。「ベーシックインカムは私たちの健康と社会のすべての問題を解決することはできませんが、経済的に困難な時代の解決策の1つである可能性は確かにあります」と主張しました。

なお、ベーシックインカムについての国内調査では、回答者の46%が「ベーシックインカムをフィンランドで導入するべき」という意見に同意を示したとのことです。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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