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月額200円以下で1TBのクラウドストレージを使える「Sia」で事業を行う場合の資産や経費のシミュレーションが公開中


ブロックチェーンを用いて、自分のコンピューターのストレージの空き容量をシェアしたり、利用者からシェアされたストレージの空き容量を借りたりすることができるクラウドストレージサービスを提供するSiaが、Google DriveやDropboxといった他サービスよりも安い月額2ドル(約200円)程度で1TBのクラウドストレージを提供できる理由を、仮にSiaでストレージをシェアする事業を始めた場合の詳細な費用や収益の数字とともに公開しています。

Cloud Storage for $2 / TB / Mo - Sia Blog
https://blog.sia.tech/cloud-storage-for-2-tb-mo-8a34043e93bb

記事作成時点では、Google Driveの200GBプランは月額380円、Dropboxの1TBプランは月額1200円となっており、Siaが実現している1TBあたり2ドル(約200円)のクラウドストレージがいかに安いかがわかります。Siaでは、サービスを利用してストレージ空き容量のシェアを事業化した場合の、具体的な設備投資や経費などの金額をスプレッドシートで公開しています。

Sia Storage Pricing Economics - Long Term - Google スプレッドシート
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1hGc-DHftI5c9zgJuyfKpQZJPQJfam_TN2tK8qxCzeg4

◆設備投資と減価償却
クラウドストレージを提供するサーバーは以下のように仮定されています。高い稼働率を維持するためには高価なパーツを購入する必要がありますが、Siaのクラウドストレージは複数のホストに分散化されているため、それぞれのホストの稼働率は95%ほどで十分とのこと。95%程度の稼働率を目指すのであれば、必要最低限の構成で実現することができるそうです。

例えば、32台のHDDを稼働させるための消費電力は200W程度であるため、電源は750Wと比較的小規模なものを選んでいるほか、CPUもサーバー用の本格的なものではなく、4コアのものを想定しています。サーバーは合計で4945ドル(約49万4500円)で構築でき、1TBあたり26ドル(約2600円)の計算になります。

・32台の6TB HDD: 4160ドル(約41万6000円)
・8本のSATAスロットを搭載したマザーボード: 150ドル(約1万5000円)
・8本の4ウェイSATAデータスプリッタケーブル: 50ドル(約5000円)
・4コアのCPU: 95ドル(約9500円)
・32GBのRAM: 140ドル(1万4000円)
・8本のSATA電源ケーブルを持つ750W電源: 80ドル(約8000円)
・8本のSATA電源スプリッタケーブル: 50ドル(約5000円)
・16台のHDDケース: 160ドル(約1万6000円)
・ラック: 60ドル(約6000円)


データセンターの構築にかかる費用については、想定されるサーバーの消費電力1Wあたり1ドル(約100円)の予算が目安とのこと。今回想定したサーバーが使用する電力は1台あたり400W程度なので、1台あたり400ドル(約4万円)をサーバー構築費用として予算化します。


クラウドストレージを提供するためには、サーバーだけでなくネットワーク機器も必要です。8台のサーバーを配置したラック1つにつき2000ドル(約20万円)のネットワーク機器を予算化すると、サーバー1台あたり250ドル(約2万5000円)の費用がかかる計算になります。さらに、サーバーの組み立てにかかる人件費2時間分の50ドル(約5000円)を加味すると、データセンターの構築費用として1台のサーバーあたり700ドル(約7万円)がかかる計算に。

サーバーやその構築費用は固定資産として扱われ、一定の規則に従って毎年減価償却をしていく必要があります。HDDの平均的な耐用年数はおよそ7年と言われているので、サーバーの取得価額を5000ドル(約50万円)とし、その15%を定額で減価償却した上で、サーバー構築費用である700ドル(約7万円)の5%を定額で減価償却していくと仮定した場合、1年あたり785ドル(約7万8500円)の減価償却費がかかる計算になります。


ROI(投資利益率)
この事業に投資する人は当然、事業費と減価償却費の合計よりも多くの収益が上がり、利益が生み出されることを期待します。サーバーの取得に5000ドル(約50万円)、サーバーの構築に700ドル(約7万円)投資しているので、目標とするROIを10%と仮定すると、サーバーやその構築費用が1台のサーバーあたり570ドル(約5万7000円)の利益を上げる必要があります。

◆電気代とその他経費
サーバーの使用する電力は、電源の効率が93%と仮定するとおよそ400W程度。マイニングファームなどは格安で電力を使用できる場所に設置されることが多いですが、データセンターは良好なネットワーク環境が必要です。電気代が安いへき地への設置は難しいので、1kWあたり10セントの電気代を想定しています。また、データセンターのPUEを1.4とすると、サーバー1台あたりの消費電力は500Wとなり、電気代は年間で450ドル(約4万5000円)かかる計算に。インターネット利用料金については、Siaのクラウドサービスの利用者が帯域の利用料金をストレージを利用する料金とは別で支払うため、Siaの損益シミュレーションからは除外されています。


今回はサーバーの稼働率を95%と想定しているため、技術スタッフを365日体制で配備しておく必要がないとのこと。HDDの故障が発生した場合は単発のスタッフを雇えばよいそうで、これが年間50ドル(約5000円)かかると想定しています。ここまでで、減価償却費、必要な利益、電気代、保守費用を合わせて、年間およそ1850ドル(約18万5000円)の収益が必要な計算になります。

ここからさらに、ストレージの利用率を90%とすると、利用されるストレージは全体の192TBから172TBに減少。また、Siaのクラウドネットワークには「担保のロックアップ」と呼ばれる、提供するストレージ容量を担保する仕組みがあります。この仕組みにより、172TBのデータを共有する場合は、年間でおよそ1カ月分の収益に相当する費用を支払わなければならないとのこと。また、「Siafunds Fee」と呼ばれる手数料がかかることも計算にいれる必要があります。


最後に、95%の稼働率を達成するためには、1.5倍の冗長性を持たせる必要がある計算になるので、これまでにかかった費用に対し、1.5を乗じてサーバー構成に冗長性を持たせた後の費用を算出。1カ月にかかる最終的な費用は1TBあたり1.5ドル(約150円)との計算結果が導出されました。つまり、事業主は1TBのストレージを1.5ドルより高い金額で貸し出せば、利益が上がることになります。

Siaによると、こうした低価格のクラウドストレージを提供できるのは、高い稼働率を維持する必要がない、分散型のネットワークによるものとのこと。なお、Siaによるクラウドストレージの料金は実際にはSiaのトークンである「SC」によって支払うため、SCの価格変動によってストレージ料金も変動します。

SiaStats.info - Storage pricing
https://siastats.info/storage_pricing

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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