セキュリティ

170億円超の被害総額を出す「ロボコール詐欺」に関する訴訟をアメリカ政府が開始

By sabinevanerp

自動音声案内を用いた詐欺(ロボコール詐欺)を行った5つの企業と3人の個人に対し、アメリカ合衆国司法省がが2020年1月28日に民事訴訟を開始しました。アメリカでのロボコール詐欺の被害総額は年間170億円超と想定されています。

The Department of Justice Files Actions to Stop Telecom Carriers Who Facilitated Hundreds of Millions of Fraudulent Robocalls to American Consumers | OPA | Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/department-justice-files-actions-stop-telecom-carriers-who-facilitated-hundreds-millions

U.S. files lawsuits over robocall scams, cites 'massive financial losses' - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-usa-robocalls-fraud/u-s-files-lawsuits-over-robocall-scams-cites-massive-financial-losses-idUSKBN1ZR2SM

司法省はロボコール詐欺に関する申し立てを2件行っており、それぞれでロボコール詐欺を続けていた企業・個人を訴えています。1件目の訴訟ではEcommerce National LLC、SIP Retailの2社と、オペレーター兼オーナーのNicholas Palumbo被告とNatasha Palumbo被告を、2件目の訴訟ではinclude Global Voicecom Inc、Global Telecommunication Services Inc.、KAT Telecom Inc.の3社と、オペレーター兼オーナーのJon Kahen被告を訴えました。

司法省の発表によると、ロボコール詐欺はこの数年で急増しています。この原因について、司法省は従来の電話回線ではなくインターネット回線を使用した音声通話技術であるVoIP技術や自動ダイヤル技術が普及してきたことが背景にあると分析。また、これらのロボコール詐欺のほとんどはインドで発信されたもので、アメリカの電気通信事業者が提供する変換サービスを介してアメリカの電話につながっているとのこと。

By TheDigitalArtist

司法省によると、Ecommerce Nationalは23日間に7億2000万件の電話をかけたことが判明しています。また、そのうち4億2500万件が1秒未満で通話が切断されていることから、全ての発信がロボコール詐欺だと司法省はみなしています。寄せられた苦情などを分析した結果、これらの通話は発信番号を偽装していた可能性があるとのこと。

司法省はロボコール詐欺の手口について、「あなたに対する社会保障給付がもうすぐ終了します」「あなたは脱税で訴えられる見込みです」「移民申請にミスがあったため、あなたは国外追放されます」といったものが一般的だと述べています。ロイター通信によると、2019年に連邦取引委員会に寄せられた苦情は40万件以上で、それらの申し立てをまとめると被害総額は1億5290万ドル(約170億円)とのこと。しかし司法省は「多くの申し立てが被害額を報告しなかった」と記しているため、実際の被害総額は約170億円よりも多い可能性があります。

By Tumisu

ロボコール詐欺はアメリカの社会問題となっており、2019年12月31日にはロボコール詐欺に対してさまざまな制限を連邦通信委員会が課せる「Pallone-Thrune TRACED」法にトランプ大統領が署名。ロボコール詐欺に対する規制の強化を進めています。

ジョディ・ハント司法次官補は「ロボコール詐欺は深刻な犯罪です。多くの場合、高齢者やだまされやすい人々に壊滅的な財政的損害を与えます」と述べて、「司法省は世界中の法執行機関と緊密に協力し、刑事・民事問わず全ての手段を活用して、電話詐欺を行う犯罪者を追及します」と、ロボコール詐欺撲滅に向けて最大限努力するという司法省の姿勢を改めて強調しました。

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in セキュリティ, Posted by darkhorse_log

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