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HPが光学ドライブの価格操作を訴えた裁判に勝利、約190億円の損害賠償金が認められる

by Pixabay

ヒューレット・パッカード(HP)は2013年、東芝・Samsung・ソニー・NEC・パナソニック・ティアック・広達電脳(クアンタ)という光学ドライブのサプライヤー7社を「共謀して製品を公正価格よりも高い値段に設定した」として告訴しました。このうち公判陪審にまで至ったクアンタとの訴訟にHPが勝利し、1億7600万ドル(約190億円)の損害賠償金が認められました。

pacer_hp_quanta_verdict.pdf
(PDFファイル)https://regmedia.co.uk/2019/10/23/pacer_hp_quanta_verdict.pdf

HP scores $176m win in CD-ROM drive price-fix case – after one biz emailed rival with 'Price Fixing' as the subject • The Register
https://www.theregister.co.uk/2019/10/23/hp_pricefixing_case/


もともとHPは、CD-ROMやBlu-ray、DVDといった光学ドライブに適正な値段を付けられるよう、サプライヤーが利用できるオンライン入札フォームを持っていました。しかし、このプラットフォームを利用してサプライヤーが価格をコントロールしたとHPは主張。裁判は数年にわたって続きましたが、HPの主張が正しかったことを示すように、多くのサプライヤーは非公開価格での示談に応じました。

一方でクアンタは公判陪審にまでおよび、その結果、クアンタはHPに対し約190億円の損害賠償金支払が命じられました。裁判では、クアンタの従業員が競合相手であるフィリップスに対して送った、「価格操作」という言葉を実際に使っているメールが証拠として示されました。このほかにもHPの弁護士は陪審員に対して、クアンタがオンラインプラットフォームで価格をつり上げていることを示す数多くのメールを提示したとのことです。陪審員に対してHPの弁護士は「HPの従業員はこのようなスキームに通じておらず、これはサプライヤーによる『裏切り』だった」と話しました。

実際に、HPがサプライヤーの共謀に気づいたのは、アメリカ司法省がこれらの企業に対して価格操作の目を向けた後でした。2011年に同様のケースが日立とLGの間で起こっており、この時司法省の立場にあった弁護士が、HPの裁判でも活躍したとのことです。

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弁護士の示すところによると、クアンタの社員は、HPのオークションサイトを利用するライバル会社の従業員に対して6カ月で150回以上も電話をかけており、この通話記録も裁判の証拠として示されました。また「クアンタに科す損害賠償金を3倍にすることで、『アメリカでビジネスを行う時はルールに従った方がいい』というメッセージを海外のサプライヤーに送ることができる」と主張したとのことです。

近年は電子部品マーケットでの価格操作に関して、数多くの裁判が起こっています。HPも最初の訴えの中で数多くのパートーナーが「HPが販売するDRAMやTFT-LCD、CRTといったコンピューターで使用する電子部品の価格操作を含む、反競争的な行動を取っています」と指摘しました。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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