マインクラフトの世界に「自閉症の子どもたちが安全に遊べる場所」を作り出す試み

by JillWellington

コミュニケーションや対人関係の構築に関する障害・困難が生じる自閉症の子どもたちは、世界中に数千万人と存在します。世界的に人気を博しているマインクラフトのワールド上では、「自閉症の子どもたちが安全に遊べる場所」を作り出す試みが行われています。

Autcraft - Home - The First Minecraft Server for Children with Autism and Their Families - Autcraft.com
https://www.autcraft.com/

Minecraft - Kate Ringland, PhD
https://kateringland.com/minecraft/

How a Minecraft world has built a safe online playground for autistic kids
https://theconversation.com/how-a-minecraft-world-has-built-a-safe-online-playground-for-autistic-kids-124492

Autcraftというコミュニティは、自閉症の子どもたちが遊べる場所をマインクラフトの世界に作り出す活動をしています。自閉症の子どもたちが安全に遊べるように、AutcraftはマインクラフトのModとさまざまなルールを組み合わせて使用しているとのこと。

たとえば、マインクラフトではユーザーが構造化されたさまざまなルールに従う必要がありますが、Autcraftでは自閉症の子どもたちがより簡単にゲームを遊べるよう、追加のプラグインを使用しているそうです。具体的な例としては、Autcraftのプレイヤーは自分が家を建てる区画をマークし、他のプレイヤーが許可なく建物を作ったり、家に変更を加えたりできないようにするプラグインなどが用いられています。

こうした物理的な制約を課しているほか、Autcraftでは参加者が従うべき社会構造も容易されています。これは安全に遊ぶために守るべきルールが含まれているだけでなく、他のプレイヤーと仲良くなったり、助け合ったりすることを促進する役目もあるとのこと。Autcraftでは「コミュニティチェスト」というツールが用意されており、「自分が使わないアイテムをチェストの中に入れ、他のコミュニティプレイヤーがアイテムを再利用できるようにする」といったルールなどがある模様。

Autcraftはマインクラフトの世界を安全なソーシャルスペースとして提供しており、子どもたちは学校が終わった後にマインクラフトをプレイし、ゲームを通じて知り合った友人たちと遊ぶことができます。子どもたちは安全な空間で建物を作ったり、かくれんぼなどの遊びをしたり、テキストチャットで会話したりしているそうです。

マインクラフトの世界はさまざまなアイテムや建物がブロックで表現され、プレイヤーのキャラクターもかなり簡素になっています。顔の表情や細かいボディランゲージといった方法でのコミュニケーションが取れないため、子どもたちはキャラクターを大きく動かし、テキストでのやり取りを行います。自閉症の子どもたちにとっては、こうしたコミュニケーションはストレスが少なく、より楽しい社交の場になるとのこと。

また、自閉症の人の中には一部の感覚が過敏になっているケースがありますが、マインクラフトの中では音量や明るさを簡単に調節できます。さらにキャラクター自身を自由に移動させて感覚を制御することも可能で、あるプレイヤーはあえてキャラクターを地面に埋めることで画面を暗くしていたそうです。Autcraftでは色鮮やかな空間や穏やかな庭園、ドアを閉じれば真っ暗になる部屋など、さまざまな環境が用意されています。

Autcraftのコミュニティでは、自閉症の子どもたちがそれぞれ自由に作業して物体を作ることもあれば、時には協力して大きな城などの建物やオブジェを作ることがあるとのこと。コミュニケーションに障害を抱える自閉症の子どもたちにとって、多くのルールが定められ、単純化されたコミュニケーションが標準となっているマインクラフトの世界は、安全な遊びと交流の場となっているようです。