サイエンス

20種類以上のがんを特定できる血液検査が開発される

By maxxyustas

膵臓がん卵巣がんなどの発見が困難ながんも含めて、20種類以上ものがんを発見できる血液検査が開発されました。この検査は「どのがんなのか」を89%の精度で特定可能で、誤診率も低いとのことです。

Multi-cancer detection of early-stage cancers with simultaneous tissue localization using a plasma cfDNA-based targeted methylation assay - ESMO_2019_Oxnard_CCGA2_Training_Final.pdf
(PDFファイル)https://grail.com/wp-content/uploads/ESMO_2019_Oxnard_CCGA2_Training_Final.pdf

New Blood Test Capable of Accurately Detecting and Localizing more than 20 Types of Cancer - Onco'Zine
https://www.oncozine.com/new-blood-test-capable-of-accurately-detecting-and-localizing-more-than-20-types-of-cancer/

この血液検査を開発したのは、ビル・ゲイツ氏やジェフ・ベゾス氏も出資を行ったことで話題となった、血液からがんを見つける会社「Grail」です。

血液からガンを見つける新会社「Grail」にゲイツ、ベゾスなどの著名人が出資 - GIGAZINE

By r. nial bradshaw

開発された血液検査は、血中に存在するセルフリーDNAというもののDNAメチル化パターンを調べるというもの。セルフリーDNAは血中系細胞の死滅時に血液中に放出されるDNAですが、免疫ががん細胞を破壊したときにも流れ出してきます。がん細胞が原因で放出されたセルフリーDNAには、DNA中のメチル基のヒドロキシル化が生ずる「DNAメチル化」に異常が起きている場合があります。そのため、血液を調べるとがんの有無がわかるというわけ。

By ThamKC

ハーバード大学医学部のダナ・ファーバー癌研究所に所属するジェフリー・オックスナード氏は、1500人のがん患者の血液と2000人のがんを患っていない人の血液をGrailが開発した血液検査にかけて分析を行いました。分析の結果、死亡率が高いがんの発見率に関して、ステージⅠのがんの発見率は32%、ステージⅡのがんの発見率は76%、ステージⅢのがんの発見率は85%、ステージIVのがんの発見率は93%で、「がんを患っていないのに、がんであると診断されてしまう」という誤診に関してはわずか0.6%だったそうです。

また、被験者の患っていたがんには、乳がん、直腸がん、食道がん、胆のうがん、胃がん、頭頸部がん、肺がん、急性リンパ性白血病、卵巣がん、膵臓がんなどの20種類以上のがんが含まれていました。この血液検査は、体内で最初にがんが発生した「原発部位」を89%の精度で特定したとのことです。

オックスナード氏は「この血液検査が一般的になれば、たとえわずかな発見率であっても、大勢のがん患者が効率的な治療を受けられるようになるかもしれない」とコメントしています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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