AppleがユーザーとSiriの会話を録音して外部の業者に聞き取りさせていたことについて正式に謝罪
by iphonedigital
AppleのAIアシスタントSiriとの会話が、会話を聞き取るための請負業者に聞かれていたと報じられた問題で、Appleは「私たちの理想とするやり方ではなかった」として謝罪する声明を発表しました。今後は無許可での音声の録音をやめるとともに、ユーザーの許可がある場合でも、会話の聴き取り作業に従事するのをApple社員のみに限定するとのことです。
Siriのプライバシー 保護機能を強化 - Apple (日本)
https://www.apple.com/jp/newsroom/2019/08/improving-siris-privacy-protections/
Apple ends contracts for hundreds of workers hired to listen to Siri | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2019/aug/28/apple-ends-contracts-hundreds-workers-hired-to-listen-siri
Apple apologizes for Siri privacy issues, changes recording policies | VentureBeat
https://venturebeat.com/2019/08/28/apple-apologizes-for-siri-privacy-issues-changes-recording-policies/
Apple apologizes for Siri audio recordings, announces privacy changes going forward - The Verge
https://www.theverge.com/2019/8/28/20836760/apple-apology-siri-audio-recordings-privacy-changes-contractors
イギリスの大手日刊紙The Guardianは「AppleはSiriが録音した音声を外部の請負業者に聞かせて、グレーディング(格付け)作業を行わせていた」と報じました。報道によるとユーザーの許可なく録音が行われ、その音声を外部の人間が聞いていたことが明らかになっています。Siriが録音した音声の中には、薬物取引や医師と患者の会話、性行為中の音声なども含まれていたそうです。
by Antonio Silveira
この報道を受けて、Appleは2019年8月2日に「格付けを一時停止する」と発表すると共に、将来的なアップデートにより、ユーザーがSiriにより録音された音声をどのように扱うか能動的に決められるようにするとの考えを示しました。
さらにその後、Appleは2019年8月28日に声明を発表し、外部の請負業者に行わせていた格付け作業について「Siriのクオリティを評価するプロセス」と説明するとともに、「これまでのやり方を再検討した結果、私たちのやってきたことは私たちの理想とするやり方ではなかったことに気がつきました。そのことについてお詫びいたします」と述べて、ユーザーに対し陳謝しました。
また、2019年の秋をめどにソフトウェアアップデートを実施し、SiriやSiriが録音した音声の取り扱い方法に次の変更を加える予定だとしています。
・初期設定でSiriとユーザーの会話を録音しないようにする。ただし、コンピューターによる会話の書き起こしは今後も格付けに使用する。
・ユーザーはオプトイン設定により、音声を録音して格付けに役立てることを許可することが可能で、この設定はいつでも解除できる。
・録音を許可した場合でも、その音声を聞くことができるのはApple社員のみ。また、意図せずSiriを呼び出したと思われる場合の音声は削除される。
声明の末文でAppleは「私たちがSiriを作ったのは、お客様がプライバシーの権利を犠牲にすることなく、より早く、より簡単に物事を片づけるお手伝いをするためです」と述べて、今後はプライバシーを犠牲にすることなくSiriの機能を拡充していくとの姿勢を改めて示しました。
by Trending Topics 2019
一方で、この発表の裏では、格付け作業に従事できないことになった労働者らが失業に直面していることも判明しています。一連の問題を最初に報道したThe Guardianは、今回の声明に先立ちAppleが少なくとも300人以上の事業者と契約を解除したことを報じました。この報道によると、事業者らには8月2日の発表以降休暇が与えられていましたが、8月下旬に契約会社を通じてAppleから解雇を通告されたとのことです。
雇用契約の都合により匿名でThe Guardianの取材に応じた労働者からは「Appleのスキャンダルの後に、わずか1週間前の通知1本で皆解雇されてしまいました。アイルランドのコーク州だけで300人以上が一度に失業し、なんの補償もありません」と不満の声が挙がっています。
一方で、インタビューでは「この知らせが取り沙汰されてホッとしています。私たちの間でも今回の仕事の倫理に関する議論が尽きませんでしたが、どうやって問題を提起するか途方に暮れていました」との声も聞かれ、職を失う一方で倫理的な懸念から解放された労働者たちの、複雑な心境が垣間見える一幕もありました。
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