「ルービックキューブが解ける」高機能なロボットハンド駆動システムの開発が進んでいる

by congerdesign

色が塗られたキューブを回転させて面の色をそろえるルービックキューブを解ける人はたくさんいますが、ロボットにとって機械の手と指でルービックキューブを解くのは難しい作業です。巨大IT企業のテンセントと香港中文大学の研究チームは、AIを用いて「ロボットの手でルービックキューブを解くシステムを開発した」と発表しました。

Learning to Solve a Rubik’s Cube with a Dexterous Hand
(PDFファイル)https://arxiv.org/pdf/1907.11388.pdf

AI researchers test a robot’s dexterity by handing it a Rubik’s cube
https://venturebeat.com/2019/07/29/ai-researchers-test-a-robots-dexterity-by-handing-it-a-rubiks-cube/

人間がルービックキューブを解く最速タイムは次第に縮められており、記事作成時点での世界記録はなんと3.47秒となっています。これだけでも一般人からすれば尋常ではないスピードに思えますが、2018年には0.38秒という目が追いつかないほどのスピードでルービックキューブをそろえるマシンが登場しました。

世界最速の0.38秒でルービックキューブを解くマシンが登場、世界記録を大幅に塗り替える様子がムービーで公開中 - GIGAZINE

しかし、このマシンはあくまでも特殊な機械とモーターを使ったものであり、人間のような5本の指や関節を持ったマシンによるものではありません。人間は5本の指を上手く使って自由自在にルービックキューブを回し、そろえることが可能ですが、ロボットにとって5本の指を持った構造を上手く使ってルービックキューブを解くのは難しいとのこと。

研究者は「ロボットが人間と同レベルに器用となり、対象物との接触が多い日常のさまざまな業務を遂行するためには、手を器用に操作することが重要です」とコメント。ロボットが人間と同じように手を用いた活動ができるようになれば、ロボット開発にとって大きな進展だと強調しています。

ところが、ロボット分野の進歩にもかかわらず、複数本の指を器用に使ってのタスク遂行には多くの課題が残っています。研究者によると5本の指が対象の物体と触れるパターンの多様さ、高次元の作業空間、壊れやすい機械的構造の問題などが、人間と同じような手を自由自在に操るロボットを実現する上での課題だそうです。

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そこで研究チームは、通常の3×3×3よりもキューブの数が少ない2×2×2のキューブ(ポケットキューブ)を対象に、最適な解法を見つけるモデルを開発。さらに仮想空間上でのロボットハンドシミュレーションを通して、ロボットの手でルービックキューブを回して解くシステムの開発を行いました。

今回の研究で使われたのは、ロボットやバイオメカニズム分野の研究・開発向けにデザインされた物理演算エンジンのMujoco。その中のShadow Handと呼ばれる、人間の手に近いロボットハンドのマニピュレーターを用いて実験が行われました。Shadow Handには人間と同じように5本の指が備えられており、親指や小指のように長さの違う指、動く関節や動かない関節までが表現されているとのこと。

研究チームは仮想のルービックキューブをShadow Handの手で回転させ、ルービックキューブの解法を導くモデルを組み合わせて解かせました。AIを用いた駆動モデルは非常に上手く機能したそうで、研究チームは実に95％以上の精度でルービックキューブを回転させることに成功し、1000回の試行で90％以上のルービックキューブ完成を達成したと説明しています。システムのパフォーマンスは今後も向上させることができると研究チームは考えており、現実のハードウェアにもシステムを展開可能だと主張しました。

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