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ディズニーが支援するフィルタリングサービス「Circle」は上手く機能するのか?


ディズニーは子どものインターネットアクセスを管理可能にする、「Circle」というフィルタリングサービスと提携して支援を行っています。Circleのフィルタリングが上手く機能するのかどうかについて、ライターでありエンジニアでもあるジム・サルター氏が自らの使用経験に基づいて解説しています。

Can Disney’s Circle really deliver a porn-free Internet? | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2019/07/can-disneys-circle-really-deliver-a-porn-free-internet/

ディズニーが支援するCircleのフィルタリングサービスは、既存のルーターに接続してフィルタリングを行うスタンドアローンのIoTデバイスを購入するか、あるいはネットギアが提供するCircleサービスが組み込まれている無線LANルーターを購入することで利用可能となります。

HTTPSによる通信は暗号化されており、ルーターを含めたウェブサイトと表示デバイスの中間にある機器は通信を傍受できません。そのため、Circleは実際にユーザーが見ているコンテンツに基づいて、「このコンテンツは有害だからブロック」「これは許可」といった風にフィルタリングを行うことは不可能。子どものインターネットアクセスを家族が制御することは、「半盲目的な推測ゲームです」と、サルター氏は指摘しています。

CircleはAndroidアプリまたはiOSアプリを通じて操作する必要があり、「PCや大きなウィンドウ、キーボードを使った制御がしたいユーザーにとっては不運です」とサルター氏は述べていますが、アプリで家族メンバーが所有する各デバイスを一括管理できるのは便利だとのこと。それぞれのデバイスを識別して個人用プロファイルに当てはめると、Circleはメンバーに応じたフィルタリングを実行できるそうです。


アプリでは「Pre-K(幼稚園入学前)」から「Adult(成人)」までの年齢に応じたプリセットフィルターが用意されているだけでなく、人気のあるサイトやウェブサービスごとにフィルタリングを追加可能。


また、コンテンツの内容だけでなく、インターネットにアクセスできる時間を制限することも可能となっています。


サルター氏は家族のインターネットアクセスをフィルタリングすることについて、「対象のメンバーがそもそも知らないもの」をブロックするには有効ですが、たとえばメンバーが本気でアダルトサイトにアクセスしようと奮闘した場合には上手くいかない可能性があると指摘。これはどのようなフィルタリングサービスでも変わらず、「有害なコンテンツの存在自体を知らせたくない」という段階で、最もフィルタリングサービスは上手く機能するとのこと。

一方、Circle自体にも問題がないとはいえないとサルター氏は主張しており、「年齢別のプリセットフィルターだけでは、Googleのセーフサーチ設定がオンにならない」という点は問題だとしています。Circleを使って子どもがGoogle検索で有害な結果を見ないようにするためには、いくつものフィルタリング項目の中から、Googleのセーフサーチをオンにする項目を見つけ出さなくてはならないとのこと。

また、検索サービスがGoogleしか用意されていないのも問題だとサルター氏は指摘。CircleはGoogle検索ではなくDuckDuckGoのような、強力な包括的セーフサーチ機能を提供する検索エンジンを利用可能にした方がいいとサルター氏は考えています。


いくつかの問題点はあるものの、サルター氏はCircleのフィルタリングサービスを高く評価しています。Circleのフィルタリング機能は強力であり、Twitterを含むいくつかのソースからポルノサイトへのリンクを踏んでみても、ページが表示されるには至らなかったとのこと。

さらに、メジャーでないポルノサイトへのリンクをクリックすると、一時的に読み込みが行われたものの、ページの画像が表示される前にアクセスが遮断された点にサルター氏は驚いたとコメントしています。この挙動はCircleが当初は該当するリンクをポルノサイトへのリンクだと認識していなかったものの、トラフィックを監視することで即座にリンク先がポルノサイトであると学習し、新たにアクセスを拒否したことを意味しているそうです。

Circleの問題点としては、特定のサイト内におけるユーザーの移動までは監視できない点だそうで、無害なコンテンツや有害なコンテンツの両方を含むサイトにおいてはフィルタリング機能が上手く働かない模様。「幼稚園入学前」のプリセットフィルターではアダルトなコンテンツへのアクセスが不可能に近くなるものの、非常に広範なサイトがブロックされているため、「人々がインターネットアクセスと見なすものではありません」とサルター氏は述べています。

by Mwabonje

フィルタリング性能に加えて、サルター氏はCircleを導入することでどれほどインターネットトラフィックに支障が出るのかも調査しています。その結果、ルーターに組み込まれているCircleではインターネットの速度低下もほぼ見られず、インターネットを使用する上での不快感はなかったとのこと。

一方、ルーターとは別に専用のIoTデバイスを用いてフィルタリングサービスを実行する場合、大幅な通信速度の低下が見られたそうです。以下のグラフは何もない状態で941MbpsをマークするルーターにCircleのIoTデバイスを接続し、通信速度を測定した結果を表しています。ルーターと有線接続してフィルタリング機能をオフにした場合でも266Mbpsまで低下し、Wi-Fi接続でフィルタリング機能をオンにした場合はわずか12Mbpsまで低下してしまいました。


サルター氏はCircleのフィルタリングサービスがかなり有効であることを認めた上で、Circleを使用する場合は専用ルーターを使用するのがベストだと述べました。

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in ネットサービス,   ハードウェア, Posted by log1h_ik

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