サイエンス

アメリカ国防高等研究計画局が水中レーダー開発のため「エビ」に注目している

by budak

アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)が取り組んでいるプロジェクト「持続型水生生物センサー(PALS)プログラム」は、生物学を利用して海上の監視機能を強化しようというもの。このPALSシステムでは、海に住む「ハタ」「スズキ」といった魚類に加え、「エビ」が国防のために働きます。

Five Teams of Researchers Will Help DARPA Detect Undersea Activity by Analyzing Behaviors of Marine Organisms
https://www.darpa.mil/news-events/2019-02-15

DARPA's Newest Drone Submarine Detection Device: Snapping Shrimp - D-brief
http://blogs.discovermagazine.com/d-brief/2019/03/22/pals-program-underwater-soundscape-darpa-drones-shrimp/

PALSシステムは2段階で機能します。まず、海洋生物は自身が過ごす環境に侵入者があった時その存在を感知し、その生物特有の信号ないし行動で反応を見せます。そしてその反応を検知システムで観察・記録・解釈し、遠隔地まで届けてくれるというものです。この「海洋生物と検出システムの組み合わせ」により、海洋生物は自己複製し自立するセンサーとなります。海洋生物のセンサーは寿命が長く環境や自然の変化にも適応するほか、監視機能の範囲も大幅に拡大することが可能であるそうです。


PALSの研究チームは5つに分かれており、それぞれ「音響の記録・分析」「微生物からの生物的信号の検出」「ゴリアテハタ(ゴライアスグルーパー)の発生合図の記録・分析」「水中車の探知にスナッピングエビ(小型のエビジャコ)を使用する研究」「水中の乗り物に影響された黒スズキの魚群や挙動の調査」を行っています。

エビを天然ソナーとして用いる研究をする防衛会社Raytheon BBNテクノロジーズの科学者であるアリソン・ラフィエーレ氏はこの研究について、「従来のソナーに比べてエビが発する音を探知に使う利点は、エビはサンゴ礁の至る所に生息しており、音波を発する装置を大量に設置する必要がないことにあります。エビが作り出す音は近距離で190デシベルとかなり大きく、分析のために音を拾うことも容易です」と説明しています。

そのほか、Raytheon BBNテクノロジーズではエビを使った天然ソナーのほかに、ラフィエーレ氏が「生物学的サウンドスケープ」と呼ぶものを監視する研究も行われているそうです。「生物学的サウンドスケープ」とは、全ての動物が水中で作っている音の集まりで、水中を乗り物が通過した時のサウンドスケープの変化を確認することができれば、レーダーでは発見できないものも見つけられるのこと。


PALSプログラムは2018年2月に発表されてから4年間の研究プログラムとして考えられ、国防に生かす形はもちろん、生物学や科学界全体に寄与することが期待されています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1e_dh

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